
同期は出世、自分は停滞…キャリア格差を感じたときの思考法

同じタイミングで入社して、同じようにスタートを切ったはずの同期。
でも、気がつけば管理職になっていたり、自分より高い給料をもらっていたりする。
一方の自分は、役職もつかず、仕事ぶりは認められているのかもよくわからない。
「なぜ自分だけ…」と感じてしまうこと、ありませんか?
いまや“出世=正解”の時代ではなくなってきてはいますが、やっぱり身近な同期と差がつくと焦りますよね。
今回は、そんな「キャリア格差」を感じたときにどう考え、どう動くかについて、実際の事例も交えながらお話しします。
1. なぜキャリアに差がつくのか?
同期だからって、同じ道を歩むとは限らない
「同期」と聞くと、横一列に並んでスタートした仲間…という印象を持ちがちですが、配属先、上司、担当業務、本人の志向――
ほんの少しの違いが、5年10年経つと大きな差になります。
出世の早い人を見ると、つい「自分は劣っているのか」と感じてしまいますが、そもそも目指している場所が違うのかもしれません。
評価されるには“見える実績”がカギ
多くの会社では、営業数字やプロジェクトの成功といった**「目に見える成果」**が評価されやすい傾向があります。
たとえ裏方で地道に支えていても、外から見えにくい仕事は、どうしても評価が遅れがちです。
▽営業職・田中さん(38歳)のケース
同期の吉田は早々に管理職に昇進しました。
一方の自分は、ずっと現場のルート営業。大きな実績もなく、なんとなく置いていかれた感じがしていました。
でもふと思い返すと、吉田は「出世したい」と公言していて、異動希望も積極的に出していたんです。
自分は「現場が合ってる」と思っていたし、上に行きたいとも言ってこなかった。今の結果は、ある意味自分で選んできた道なんだと思います。
→ 「評価されたい」「昇進したい」なら、その意思をきちんと言葉にすることが大切です。
2. キャリア格差に負けないための3つの考え方
① 他人ではなく“自分の軸”で考える
つい人と比べてしまいますが、いちばん大事なのは**「自分がどんな働き方をしたいのか」**です。
- 家庭やプライベートを大切にしたい
- 専門スキルを深めたい
- 現場で誰かに頼られる存在でいたい
こうした価値観に正解・不正解はありません。
“自分にとっての正解”を持っていれば、他人の成功に振り回されなくなります。
▽技術職・山口さん(42歳)のケース
同期が次々に管理職になるなか、自分は現場の技術者としてキャリアを積んできました。
出世してないことに劣等感もあったけど、「技術の相談は山口に」と言ってもらえることが誇りです。
結果として、自分が目指した働き方を実現できていると思います。
→ 出世だけが成功ではありません。“どう働きたいか”を大切にすることが、ブレないキャリアにつながります。
② キャリアはマラソン。今の順位に一喜一憂しない
目の前の昇進や給与だけを見ていると、「差がついた…」と感じやすくなります。
でもキャリアは、10年・20年かけて作っていく長期戦。
いまは遠回りでも、積み上げた経験が将来の大きな武器になることもあります。
▽総務部・佐藤さん(45歳)のケース
同期が部長になった頃、自分はまだ係長。でも、採用・広報・DXなど幅広く経験してきた結果、あるベンチャー企業から「管理部門責任者」としてスカウトされました。
社内では地味だったけど、社外では“即戦力”として評価されたんです。
→ 企業の中での評価と、市場での評価は別物。 キャリアの“厚み”は必ずどこかで報われます。
③ 自分の力が発揮できる「環境」を見直す
「がんばっても報われない」と感じる場合、その職場があなたの力を正しく評価できていない可能性もあります。
社風や制度が合わなければ、いくら努力しても差は埋まりません。
逆に、環境を変えることで一気に花開く人もいます。
▽営業職・大塚さん(36歳)のケース
前職では年功序列が根強く、どんなに成果を出しても昇進できなかった。
転職して、成果主義の会社に入ったところ、3年目で課長に昇格。
「努力が報われる環境」に身を置くだけで、仕事のモチベーションが大きく変わりました。
→ 環境が変われば、評価もチャンスも変わります。「ここで本当に成長できるのか?」と見直す視点が必要です。
3. キャリア格差に気づいた瞬間こそチャンス
キャリアの“差”に悩むのは、悪いことではありません。
むしろ、それに気づいたときこそ、自分の未来を考える絶好のタイミングです。
まずは、こんな問いを自分に投げかけてみましょう。
- 今の働き方に、満足してる?
- 本当にやりたいこと、見えてる?
- このまま5年後を迎えて、後悔しない?
どれか一つでも「うーん…」と思ったら、それは行動を起こすサインかもしれません。
4. キャリアを立て直すために、今日からできること
◆ 自分の「強み」を書き出す
まずはこれまでの経験を棚卸ししてみましょう。
- どんな仕事をしてきた?
- どんな成果があった?
- 他人に「頼られた」経験は?
→ 書き出すことで、意外な強みに気づけたりします。
◆ ロールモデルを見つける
「こうなりたい」と思える人を見つけると、自分の進みたい方向がクリアになります。
SNS、YouTube、書籍などでもいいので、気になる働き方をしている人を探してみましょう。
◆ 転職市場をのぞいてみる
「転職しよう」と決めていなくても、求人情報を見るだけで視野が広がります。
実際、リクルートワークス研究所の調査では、2024年の30〜40代のキャリアチェンジ成功率は前年比112%。
市場全体が“転職に前向き”な流れになってきているんです。
→ 気になる求人を眺めてみるだけでも、今の自分の価値が見えてきます。
おわりに:「比較」ではなく「納得」で選ぶキャリアを
キャリア格差に直面したとき、つい「自分だけ取り残された…」と感じてしまうものです。
でも、他人のスピードや評価に合わせる必要はありません。
いちばん大切なのは、“自分が納得できる道を選ぶこと”。
出世だけがキャリアの成功じゃない。
やりがいを持って働けること、無理なく続けられること、大切な人との時間を守れること…。
人によって、“満足”の形は違うはずです。
焦らず、立ち止まり、そして自分の軸を信じて、次の一歩を踏み出しましょう。