
仕事ばかりで人生がない?

― 働きすぎが心に与える影響と、見直すタイミングとは ―
「気づけば、今日も帰るのは深夜」
「働いてばかりで、家族ともすれ違い」
「休んでるはずなのに、まったく疲れが取れない…」
こんなふうに、仕事中心の生活が当たり前になっている方、きっと少なくないはずです。
やることが多くて毎日があっという間。でも、ふとした瞬間に「これって本当に自分の望んだ人生?」と疑問が浮かぶこともあるのではないでしょうか。
今回は、働きすぎがメンタルにどんな影響を与えるのか。そして、自分らしい働き方を取り戻すにはどうすればいいのか。実際のエピソードも交えながら、一緒に考えていきましょう。
どうして、こんなにも働きすぎてしまうのか?
そもそも、なぜこんなにも私たちは働きすぎてしまうのでしょうか?
- 成果や評価へのプレッシャー
- 人手不足による業務の集中
- 長時間働くことが“正義”とされる社風
- 「頑張ることが当たり前」という価値観
特に、責任感の強い人ほど「自分が頑張らないと現場が回らない」と思い込み、気づけば限界を超えてしまうケースが多いんです。
でも、それって本当に「自分のため」になっているでしょうか?
【事例1】ある日突然、動けなくなったマネージャーの話
佐々木さん(38歳・仮名)は、IT企業でプロジェクトマネージャーをしていました。納期に追われ、毎日12時間以上の勤務が続き、帰宅後もスマホでチームのフォロー。休日も仕事の連絡が絶えませんでした。
ところがある朝、目が覚めても体がまったく動かない。慌てて病院に行くと、「うつ状態」と診断されました。
本人は「まだまだ頑張れる」と思っていたそうですが、心と体はすでに限界だったんですね。
この事例から見えること:
- 働きすぎは、少しずつ心と体をむしばんでいく
- 真面目で責任感の強い人ほど、限界を超えやすい
- 本人が“気づかない”まま、突然限界が来ることもある
メンタル不調のサイン、見逃していませんか?
「なんとなく調子が悪いな」と感じていたら、それは心が出しているSOSかもしれません。以下のようなサインに心当たりはありませんか?
- 朝起きるのがつらい
- 集中力が続かない
- 人と話すのがしんどい
- 食欲や睡眠に異変がある
- 些細なことでイライラする
- 休日も仕事のことが気になる
- 家族や趣味に興味がわかない
こうした変化が続くようなら、一度立ち止まって、自分の心と体に目を向けるタイミングかもしれません。
【事例2】「仕事一色」の生活が、家族との関係を壊しかけた話
高橋さん(45歳・仮名)は、大手商社で営業部長を務めていました。毎朝早く出社し、深夜まで仕事。週末も接待やゴルフで、家にはほとんどいない状態でした。
ある日、奥さんからこう言われます。
「このままの生活なら、離婚も考えたい」
それがきっかけで、自分が“家族のため”に働いていたつもりが、家族を犠牲にしていたことに気づいたそうです。
この事例からわかること:
- 長時間労働は、家族との信頼関係にも影響する
- 「家族のために働く」が、実は逆効果になることも
- 人間関係のつながりは、心の安定にとっても大事
「人生=仕事」じゃない。自分を守る働き方を考えよう
仕事は大事。でも、それがすべてになってしまうと、自分を失ってしまいます。
心と体を守りながら働くために、意識しておきたいことをご紹介します。
1. 自分の“限界ライン”を知ること
「これ以上は無理」と感じたら、それは立派なブレーキ。毎日の体調や気分の記録をつけておくと、変化に気づきやすくなります。
2. “休む勇気”を持つこと
休むことは、決して悪いことではありません。パフォーマンスを維持するためにも、しっかり休むことは必要不可欠。週に1日は「仕事のことを一切考えない日」を意識的につくってみましょう。
3. 家族や友人との時間を大事にする
人とのつながりは、心の支えになります。仕事がうまくいってないときこそ、プライベートの時間が心のバランスを取り戻してくれます。
【事例3】「人生を取り戻す」ために転職した男性の話
山口さん(41歳・仮名)は、広告代理店で20年働いてきたベテラン社員。やりがいはあったけれど、残業や休日出勤が当たり前で、家族と過ごす時間はゼロに近い状態でした。
ある日、子どもの運動会に出られなかったことをきっかけに「自分の人生、これでいいのか?」と真剣に考えるように。
そして転職を決意。ワークライフバランスを大切にする会社に移り、家族との時間も増えました。「やっと人間らしい生活に戻れた」と話しています。
この事例から得られること:
- 大切な時間は、お金では買えない
- 転職は“逃げ”じゃなく、“人生を取り戻す選択肢”
- 働き方を変えることで、心の余裕も取り戻せる
最後に|“働くために生きる”を手放そう
気づけば、毎日仕事に追われる日々。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
- 今の働き方、本当に自分に合っていますか?
- 家族や自分の時間を大切にできていますか?
- 「このまま続けたら、どうなるだろう」と感じることはありませんか?
心と体は、壊れてからでは遅いんです。
大切なのは、「今」気づいて、「今」から変えること。
どうか、人生の主役を“仕事”だけにしないでください。
あなた自身の時間、家族との時間、心の余裕。
それらをちゃんと守れる働き方、きっと見つかります。