
独身だからって“残業要員”?

不平等な働き方にどう向き合う?
「独身でしょ?お願いできるよね」
「子育て中の人には頼みにくくてさ…」
「家庭がないなら残ってもらえる?」
こうした言葉に、モヤっとしたことはありませんか?
独身だという理由で、残業や休日出勤を頼まれやすくなる――。最近では“働き方改革”が話題になっているものの、こうした「見えない不平等」は、今もあちこちの職場で起こっています。
今回は、独身というだけで仕事を押しつけられてしまう状況に焦点を当て、実際の事例を交えながら「どう立ち向かうべきか?」を考えていきます。
「独身=時間がある」という思い込み
「独身なんだから、自由がきくでしょ」
そんな“勝手な前提”で、負担を押しつけられていませんか?
たしかに育児や家庭の都合で時間が制限される人もいます。でも、独身者にだって自分の時間や大切にしていることがありますよね。
たとえば――
- 習い事や趣味の時間
- リラックスや休息の時間
- 友人・パートナーとの予定
- 実家の手伝いや介護
家庭があるかどうかに関係なく、誰もが「プライベートの時間」を持っていて当然です。独身だからって、好き放題に使える“余白”があるわけではないのです。
【事例1】「私だけ、毎日残業してる…」
佐藤さん(34歳・仮名)は、都内のメーカーで営業事務をしています。周囲には育児中の社員が多く、「子どもが熱を出した」「保育園の迎えがある」などで、早く帰る人がほとんど。
その分、佐藤さんに仕事が回ってくるようになりました。
「いつもありがとう」「助かってるよ」と言われるたび、笑顔で頷いていた佐藤さん。でも、週末の予定はキャンセル続き、気づけば月の残業は40時間を超えていました。
「私にだって予定がある」と訴えても、「家庭のある人には頼めないから…」と返され、結局は我慢。
半年後、体調を崩して休職することになりました。
復職後は異動を申し出て、今では別部署で無理のない働き方ができているそうです。
「断りたいけど、空気を壊したくない…」
職場で「独身だから頼みやすい」と思われてしまうと、断るのが難しい雰囲気になってしまいますよね。
でも、無理を続けると、体も心も悲鳴を上げてしまいます。だからこそ、自分のために“線引き”することが必要です。
● 断り方のコツ
断る=冷たい、わがまま…と思いがちですが、そうではありません。大切なのは「伝え方」。
たとえば、こんなふうにやんわり伝えるだけでもOKです。
- 「今日は予定があって…すみません」
- 「ちょっと疲れがたまってて…」
- 「最近残業が続いていて、体力的にきついです」
協力できるときはする。でも、できないときはきちんと伝える。そうやって少しずつ、「いつでもOKな人」というイメージを変えていくことが大切です。
【事例2】「夜間対応=独身、っておかしくない?」
山本さん(42歳・仮名)は、IT企業のインフラ担当。システム障害などが起こると、深夜でも呼び出されるような仕事です。
なぜか夜間対応はいつも山本さん。理由は「独身だから頼みやすい」――。
最初は「任されているのは信頼の証」と思っていましたが、さすがに負担が大きくなり、労務担当に相談。
結果、夜間対応にローテーション制が導入され、業務の偏りが改善されました。
山本さんのように、声を上げることが環境を変える第一歩になる場合もあります。
「時間がある人」が損をする構造を壊そう
日本にはまだ、「家族がいる人を優先すべき」「独身は融通がきく」といった価値観が根強く残っています。
でも、働き方に“家族構成”を持ち込むのはおかしいですよね。
ライフスタイルに関係なく、誰もが対等に働ける環境を目指すべきです。そのためには――
- 自分の時間を大切にする
- 「いつも頼める人」にならない工夫をする
- 無理なときは、きちんと断る
- 必要があれば、社内で相談する
そして、どうしても変わらない職場なら、転職も立派な選択肢です。
「独身=便利な人」ではない
独身であることは、決して“弱み”ではありません。
むしろ、自分の時間をどう使うかを自由に選べる立場でもあります。それを「都合よく使われる理由」にされてしまうのは、本末転倒ですよね。
だからこそ、こう言える勇気を持ちましょう。
「私は、誰かの“代わり”じゃない」
「私の時間も、大切なんです」
自分の時間と人生を、大切に。
誰にも遠慮せず、堂々と、自分らしく働いていきましょう。