独身だからって“残業要員”?

2025.6.11
コラム

不平等な働き方にどう向き合う?

「独身でしょ?お願いできるよね」
「子育て中の人には頼みにくくてさ…」
「家庭がないなら残ってもらえる?」

こうした言葉に、モヤっとしたことはありませんか?

独身だという理由で、残業や休日出勤を頼まれやすくなる――。最近では“働き方改革”が話題になっているものの、こうした「見えない不平等」は、今もあちこちの職場で起こっています。

今回は、独身というだけで仕事を押しつけられてしまう状況に焦点を当て、実際の事例を交えながら「どう立ち向かうべきか?」を考えていきます。


「独身=時間がある」という思い込み

「独身なんだから、自由がきくでしょ」
そんな“勝手な前提”で、負担を押しつけられていませんか?

たしかに育児や家庭の都合で時間が制限される人もいます。でも、独身者にだって自分の時間や大切にしていることがありますよね。

たとえば――

  • 習い事や趣味の時間
  • リラックスや休息の時間
  • 友人・パートナーとの予定
  • 実家の手伝いや介護

家庭があるかどうかに関係なく、誰もが「プライベートの時間」を持っていて当然です。独身だからって、好き放題に使える“余白”があるわけではないのです。


【事例1】「私だけ、毎日残業してる…」

佐藤さん(34歳・仮名)は、都内のメーカーで営業事務をしています。周囲には育児中の社員が多く、「子どもが熱を出した」「保育園の迎えがある」などで、早く帰る人がほとんど。

その分、佐藤さんに仕事が回ってくるようになりました。

「いつもありがとう」「助かってるよ」と言われるたび、笑顔で頷いていた佐藤さん。でも、週末の予定はキャンセル続き、気づけば月の残業は40時間を超えていました。

「私にだって予定がある」と訴えても、「家庭のある人には頼めないから…」と返され、結局は我慢。

半年後、体調を崩して休職することになりました。

復職後は異動を申し出て、今では別部署で無理のない働き方ができているそうです。


「断りたいけど、空気を壊したくない…」

職場で「独身だから頼みやすい」と思われてしまうと、断るのが難しい雰囲気になってしまいますよね。

でも、無理を続けると、体も心も悲鳴を上げてしまいます。だからこそ、自分のために“線引き”することが必要です。

断り方のコツ

断る=冷たい、わがまま…と思いがちですが、そうではありません。大切なのは「伝え方」。

たとえば、こんなふうにやんわり伝えるだけでもOKです。

  • 「今日は予定があって…すみません」
  • 「ちょっと疲れがたまってて…」
  • 「最近残業が続いていて、体力的にきついです」

協力できるときはする。でも、できないときはきちんと伝える。そうやって少しずつ、「いつでもOKな人」というイメージを変えていくことが大切です。


【事例2】「夜間対応=独身、っておかしくない?」

山本さん(42歳・仮名)は、IT企業のインフラ担当。システム障害などが起こると、深夜でも呼び出されるような仕事です。

なぜか夜間対応はいつも山本さん。理由は「独身だから頼みやすい」――。

最初は「任されているのは信頼の証」と思っていましたが、さすがに負担が大きくなり、労務担当に相談。

結果、夜間対応にローテーション制が導入され、業務の偏りが改善されました。

山本さんのように、声を上げることが環境を変える第一歩になる場合もあります。


「時間がある人」が損をする構造を壊そう

日本にはまだ、「家族がいる人を優先すべき」「独身は融通がきく」といった価値観が根強く残っています。

でも、働き方に“家族構成”を持ち込むのはおかしいですよね。

ライフスタイルに関係なく、誰もが対等に働ける環境を目指すべきです。そのためには――

  • 自分の時間を大切にする
  • 「いつも頼める人」にならない工夫をする
  • 無理なときは、きちんと断る
  • 必要があれば、社内で相談する

そして、どうしても変わらない職場なら、転職も立派な選択肢です。


「独身=便利な人」ではない

独身であることは、決して“弱み”ではありません。

むしろ、自分の時間をどう使うかを自由に選べる立場でもあります。それを「都合よく使われる理由」にされてしまうのは、本末転倒ですよね。

だからこそ、こう言える勇気を持ちましょう。

「私は、誰かの“代わり”じゃない」
「私の時間も、大切なんです」

自分の時間と人生を、大切に。
誰にも遠慮せず、堂々と、自分らしく働いていきましょう。


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