
採用単価が高すぎる企業にありがちな失敗と、見直したいポイントとは?

「求人広告にお金をかけても、なかなか応募が来ない…」
「紹介会社に頼ってばかりで、1人あたりの採用コストが想定以上に高い…」
「これで本当に費用対効果は合ってるの?」
こんなふうに、採用にかかるコストに頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。
採用単価が高くなるのは、決して珍しいことではありません。ただ、その背景には、いくつか共通する「見落とし」があることも事実です。
この記事では、採用単価が高止まりしてしまう企業にありがちな失敗パターンと、今日から見直せる改善ポイントについて、事例を交えてわかりやすく解説します。
採用単価ってそもそも何?
まず最初に、採用単価(Cost Per Hire)とは何かをおさらいしておきましょう。
採用単価は、1人を採用するのにかかったコストの合計を指します。以下のように計算します:
採用単価 = 採用にかかった総費用 ÷ 採用人数
この「総費用」には、たとえばこんなものが含まれます。
- 求人広告の掲載料
- 人材紹介会社への手数料
- 採用担当者の人件費
- 説明会や面接にかかる交通費・会場費
- 自社採用サイトの制作・運用費 など
これらのコストが積み重なると、知らないうちに採用単価がどんどん高くなってしまう、というわけです。
採用単価が高くなってしまう3つのよくある失敗
ここからは、採用単価が高くなる企業にありがちな失敗パターンを、実際の企業事例を交えながらご紹介します。
1. 採用が「属人化」していて非効率になっている
▶︎事例:IT企業A社の場合
あるITベンチャーでは、年間で約30名の中途採用を行っていましたが、採用業務のほとんどを1人の人事マネージャーが担当していました。
求人原稿の作成から候補者対応、面接日程の調整、媒体のやり取りまで、すべて一人で担当。
その結果…
- 求人ごとの効果を検証する時間がない
- 結果が出ていない媒体や紹介会社を使い続けていた
- 応募者対応が遅れ、辞退されるケースも多数
最終的に、1人あたりの採用単価は80万円を超えてしまっていました。
この課題を受け、A社では採用チームを再編し、業務を分担。KPIを設けて採用活動を可視化し、毎月媒体の効果検証を行うように改善。結果、翌年には採用単価を約45万円にまで下げることができました。
★改善ポイント:
- 採用業務をチームで分担し、属人化を防ぐ
- 媒体やエージェントの効果を定期的にチェックする
- データに基づいて予算配分を見直す
2. エージェント頼みで採用の軸がぶれている
▶︎事例:老舗メーカーB社の場合
B社では、営業職の採用を人材紹介会社に丸投げ。欠員が出るたびに依頼し、1人採用するたびに紹介料として150万円(年収の35%)を支払っていました。
さらに、せっかく採用した人が1年以内に辞めてしまうことも多く、結果的にコストも時間もムダになっていたのです。
この背景には、採用戦略をしっかり立てないまま「急募対応」に走ってしまったこと、そして自社の採用チャネルを育ててこなかったことがありました。
その後、B社は自社採用サイトの強化、リファラル採用の制度化に着手。紹介者にインセンティブを設けるなど社内の協力も得ながら、紹介率を大幅にアップさせ、紹介会社への依存度は50%から20%へ減少しました。
★改善ポイント:
- エージェントを“補助的な手段”として使う
- 自社の採用基盤(サイト・SNS・リファラルなど)を育てる
- 計画的に「先手を打つ採用」を行う
3. 求人に“自社の強み”が出ていない
▶︎事例:小売業C社の場合
C社では、年間1000万円近く求人広告に投資していましたが、応募数は横ばい、採用単価は上昇傾向。
よくよく求人原稿を見てみると…
- 「未経験歓迎」「社保完備」「シフト制OK」など、ありきたりな表現ばかり
- 写真や社員の声が少なく、働くイメージが湧かない
- 自社の“らしさ”が伝わっていない
実はこの会社、女性店長の割合が高く、柔軟な働き方ができる環境も整っていました。それにもかかわらず、魅力を発信しきれていなかったのです。
C社はそこを改善。実際に働いているスタッフの写真やインタビューを掲載し、「あなたらしい働き方が見つかる場所」というメッセージで求人を刷新した結果、応募数は約1.5倍に。広告費も20%削減することができました。
★改善ポイント:
- 自社ならではの働き方や価値観を、応募者目線で発信する
- 写真・動画・社員の声などで“リアル”を伝える
- 掲載する媒体だけでなく、“中身”を磨くことに注力する
採用単価を下げるためにできる3つのこと
ここからは、採用単価を下げるために今日からできることを3つにまとめました。
① 採用活動の“見える化”を徹底する
まずは「今、どこにどれだけコストがかかっているのか?」を把握するところから始めましょう。
たとえば:
- 媒体別の応募数・採用数・単価
- エージェントごとの成約率や離職率
- 面接通過率・内定辞退率
これらを定期的に可視化することで、ムダな支出や課題が見えてきます。
② 採用ブランディングに投資する
広告や紹介会社に頼るのではなく、「この会社で働きたい」と思ってもらえるようなブランディングが重要です。
- 社員インタビューやストーリーの発信
- 自社SNSやYouTubeの活用
- 採用ページのデザイン刷新や情報の拡充
採用活動を“発信活動”と捉え、少しずつでも積み上げていくことが、コスト削減にもつながります。
③ 長期的な採用戦略を描く
採用は「欠員が出たから慌てて始める」のではなく、半年〜1年先を見据えて準備しておくことが大切です。
- 短期的なピンポイント採用 → 中長期的な“タレントプール”型採用へ
- 個別対応中心 → コミュニティ作りやイベント型へ
余裕を持って採用活動ができれば、結果的に単価も下がり、ミスマッチも防げます。
まとめ:採用単価は“採用の健康診断”
採用単価が高くなっているときは、単に「お金がかかってる」というだけでなく、採用の仕組みそのものに課題があるサインかもしれません。
- 採用業務が属人化していないか?
- 外部に頼りすぎていないか?
- 自社の魅力をきちんと伝えられているか?
この3つの視点をもって採用の仕組みを見直すことで、コストはもちろん、採用の質や定着率も向上させることができます。
「いい人が取れない」「お金だけがかかってる」と感じているなら、ぜひ一度立ち止まって、採用のやり方を見直してみてはいかがでしょうか?
ご希望があれば、このブログ記事を元にした【プレゼン資料】や【採用ページの改善案】の作成もお手伝いできます。お気軽にご相談ください。