女性管理職の登用、本当に企業の力になるの?メリットとデメリットを事例で解説

2025.6.02
コラム

近ごろ、ニュースや企業の取り組みでよく見かける「女性管理職の登用」。
国の方針やSDGsの影響もあって、「もっと女性をリーダーに」といった流れがどんどん広がっています。

でも現場からは、「本当に意味があるの?」「無理に増やしてるだけじゃ?」といった声もよく聞かれます。
果たして、女性を管理職に起用することには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

今回は、実際の企業事例を交えながら、「女性管理職」のリアルをわかりやすく解説します。


そもそも、なぜ今「女性管理職」が注目されているの?

まず大前提として、日本の女性管理職の割合はまだまだ低いのが現実です。
総務省の調査(令和5年)によると、その割合は約15%。OECD諸国の中では、かなり下のほうに位置しています。

これにはさまざまな背景があります。

  • 出産・育児とキャリアの両立が難しい
  • 長時間労働の文化
  • 昔ながらの「男が出世するもの」という意識

ただ、今は企業側にも「女性を管理職に登用しよう」とする強い動機があります。たとえば…

  • 労働人口の減少に対応するため
  • 多様性(ダイバーシティ)を活かした組織を目指すため
  • イノベーションや新しい発想を取り入れるため
  • ESGやSDGsなど、社会的な評価を高めるため

もはや「見た目のバランスを取るため」ではなく、「経営にとって必要だから」女性の登用が求められている時代なんですね。


【メリット1】多様な視点が意思決定に活かされる

事例:資生堂の取り組みと業績アップ

資生堂では、早くから女性管理職の育成に力を入れてきました。今では、部長職の3割以上が女性です。

とくに注目されたのは、女性視点の商品開発やマーケティング戦略。これがヒットを連発し、ブランド力や売上アップにもつながりました。

つまり、違う視点を持つ人が意思決定に加わることで、ビジネスチャンスが広がるというわけです。


【メリット2】チームの雰囲気が良くなり、離職も減る

事例:関西の中堅IT企業での変化

あるIT企業では、女性リーダーを初めてチーム長に登用。すると、彼女の「聞く力」「共感力」が強みとなり、メンバーのモチベーションが上がりました。

その結果、これまで多かった離職やメンタル不調が大きく減ったそうです。

今の若い世代にとっては、上下関係よりも「安心して働ける環境」が大事。そういう意味でも、女性の柔らかいリーダーシップが生きる場面は増えています。


【メリット3】ロールモデルができ、後輩の意欲アップにつながる

女性管理職が増えると、「あの人みたいになりたい」「自分も管理職を目指せるかも」と思う若手が増えていきます。

特にこれまで「女性は出世しづらい」と思われていた職場では、ひとりの成功例が職場全体に大きな影響を与えることもあります。


一方で、デメリットもある。気をつけたいポイントは?

デメリット1:「無理やり感」のある登用が逆効果に

よくあるのが、「とりあえず女性を登用しよう」と、意欲や準備が十分でない人を管理職にしてしまうケース。
こうなると、本人にもチームにも悪影響を及ぼします。

さらに、「女性ばかり優遇されてる」と不満を持つ男性社員が出てくると、職場の空気もギスギスしてしまいます。

対策: 性別ではなく、あくまで「適性」や「実力」を基準にした登用が必要です。


デメリット2:「女性代表」としてのプレッシャーが重い

人数が少ないと、どうしても「あなたが成功しないと他の女性にも影響が出る」といった、無言のプレッシャーがかかってしまいます。

すると、「絶対に失敗できない」「自分ばかり責任を背負っている」と感じて、精神的に追い詰められてしまう人も。

対策: メンター制度やチームで支える文化をつくるなど、サポート体制を整えることが大切です。


デメリット3:「管理職になりたくない」という女性もいる

実は、一定数の女性は「管理職になりたいと思わない」と答えています。

その理由はさまざま:

  • 家庭とのバランスが心配
  • 責任が重くなることへの不安
  • 会社の上層部に女性が少なく、孤独を感じそう

「女性だから登用すべき」という一方的な考え方では、逆にやる気をなくしてしまうこともあるんです。

対策: キャリアは人それぞれ。管理職以外にも活躍できるポジションや評価制度を用意しておくことが必要です。


まとめ:女性管理職の登用は“戦略的”に行うのがカギ

女性を管理職に登用することには、多くのメリットがあります。
でも、それは「ただ登用するだけ」ではなく、しっかりとした準備と支援があってこそ効果を発揮します。

たとえば…

  • 適正と希望を尊重した人選
  • 育成やメンタリング制度の整備
  • チームで支える組織文化
  • 管理職以外のキャリアパスも認める評価制度

こうした土台があってこそ、女性管理職が組織の中で自然に活躍できるようになります。


最後に:女性管理職は“象徴”ではなく“戦力”に

女性を管理職に登用することは、単にイメージを良くするための取り組みではありません。

しっかりと活躍できる環境を整えれば、女性管理職は会社にとっての「戦力」になります。そしてその姿が、次世代の女性たちにとっての希望にもつながります。

「女性が活躍するのが当たり前」の社会をつくるには、企業一社一社の地道な努力が欠かせません。


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