定年後の再雇用にやりがいはある?実例から考える“第二のキャリア”

2025.5.31
コラム

「定年を迎えたあと、自分はどうなるんだろう?」

そんな不安や疑問を抱える方、きっと多いのではないでしょうか。

人生100年時代。今や60歳や65歳で「仕事人生が終わり」とは言い切れない時代になってきました。最近は、多くの企業で再雇用制度が整備され、定年後も働き続ける人が増えています。

でも一方で、

  • 給料がガクッと下がる
  • 責任もなく、雑用ばかり
  • やりがいなんて感じられない…

そんなネガティブな印象を持つ方も少なくありません。

「定年後の再雇用って、本当に意味あるの?」
「働く意味や楽しさは、もう感じられないのかな?」

今回はそんな疑問に対して、実際に再雇用でやりがいを見つけて働く方々の事例を紹介しながら、「定年後の働き方」について一緒に考えてみたいと思います。


再雇用って、そもそもどういう制度?

まずは簡単におさらいです。

再雇用制度とは、定年を迎えた社員が、契約社員などとして会社に引き続き雇われる制度のこと。日本では法律により、企業は希望する人に65歳までの雇用機会を提供することが求められています。

よくある再雇用のスタイル:

  • 雇用形態は「契約社員」になることが多い
  • 給与は、定年前の6~7割に下がるケースが一般的
  • 働く時間や仕事内容は、ある程度調整可能
  • 最近では70歳までの雇用延長に取り組む企業も増えている

お金のためだけでなく、「まだ働きたい」「社会と関わっていたい」といった気持ちで選ぶ人も多いのがこの制度の特徴です。


【事例①】“技術を伝えること”に目覚めた元エンジニアの挑戦

佐藤 修一さん(67歳)
→ 製造業のエンジニア → 再雇用後は若手の育成担当

佐藤さんは、大手電機メーカーで40年以上エンジニアとして働いたあと、60歳で定年退職。再雇用制度を使い、今は若手社員の指導役として活躍されています。

最初は、「もう第一線じゃないし、正直やる気が出なかった」と話す佐藤さん。

そんなある日、若手社員から「佐藤さんの説明、すごくわかりやすいです!」と言われたのが転機になりました。

「教えることで、誰かの役に立てる。自分の経験が活かせる。そう気づいた瞬間、今の仕事が楽しくなってきたんです。」

今では“現場の知恵袋”として、後輩たちの成長を支える毎日。かつての“作り手”から“伝え手”へ。役割は変わっても、仕事のやりがいは変わらない。そんな働き方です。


【事例②】“お客様の声”が何よりの原動力に

中川 直子さん(65歳)
→ 食品会社の営業職 → 再雇用後はお客様相談室へ

中川さんは、営業職として長年バリバリ働いてきましたが、体力的に厳しくなってきたこともあり、定年後は社内のコールセンターに異動。

いわゆる「お客様の声」を受け止める仕事です。

「営業時代より給料は下がったけど、お客さまと話すのは大好き。直接“ありがとう”って言われるのが嬉しくて、続けてるんです」と中川さんは笑顔で語ってくれました。

「誰かの困りごとを一緒に解決して、“助かりました”って言われる。その一言で1日ハッピーになれます。」

自分に合った仕事に出会えたからこそ、自然とやりがいが生まれた。中川さんのように、「場所を変えることで、仕事の楽しさを再発見する」人は少なくありません。


やりがいを感じるコツは?3つの視点

「肩書き」より「役割」を意識しよう

再雇用後は、部長や課長といった肩書きはなくなることが多いです。でもだからこそ、“現場を支える存在”や“若手の相談役”として、新しい役割を楽しめるようになります。

大事なのは、**“どんな役割で貢献できるか”**という視点です。

「評価」より「感謝」を求めてみよう

若いころは「昇進」や「評価」がモチベーションだったかもしれません。でも、今は「ありがとう」と言われることが一番うれしい——そんなふうに気持ちの軸を変えてみると、仕事がもっと楽しくなります。

「成長」より「貢献」を目指そう

若手は“成長”がやりがい。シニアは“貢献”がやりがい。
経験を活かして、誰かを助ける・支える。それが再雇用世代ならではの強みです。


本人と会社、両方がちょっと意識を変えるだけで…

本人側のちょっとした工夫:

  • 自分の得意なこと、伝えられることを整理する
  • 「どう働きたいか」を会社にきちんと伝える
  • 与えられるのを待つのではなく、自分から関わる姿勢を持つ

会社側のサポートも大切:

  • 「ただの補助要員」扱いにせず、明確な役割を与える
  • 年齢や立場に関係なく、感謝とリスペクトを伝える
  • シニア人材が活躍できる場所をつくる工夫をする

最後に:定年後は“終わり”じゃない、“もう一つの始まり”

定年後の再雇用は、たしかに若いころのような出世競争や高収入とは無縁かもしれません。でもその分、「自分らしい働き方」や「本当のやりがい」に出会えるチャンスでもあります。

仕事が好き、誰かの役に立ちたい、まだまだ社会と関わっていたい。
そんな気持ちを持つ人にとって、再雇用は“もうひとつのキャリアのスタート”です。

これから定年を迎える方も、すでに再雇用を選んでいる方も。
「今の働き方にちょっとだけ“意味”を足す」ことから、やりがいのある毎日が始まるかもしれません。


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