
採用活動で「PASONAの法則」を活用するときの課題と対処法:申し込みを増やすためのヒント

採用活動に「PASONAの法則」を取り入れている企業が増えています。この法則は広告やマーケティングでよく使われるフレームワークですが、採用の場面でも応募者の興味を引き、行動を促すのに役立ちます。具体的には次の6つのステップから成り立っています。
- Problem(問題提起)
応募者が抱える課題や悩みを提示する。 - Agitation(問題の深掘り)
その課題が解決しない場合のリスクや影響を伝える。 - Solution(解決策の提示)
企業が提供できる環境やメリットを示す。 - Offer(特典の提示)
応募者に具体的な利点を提案する。 - Narrowing down(限定条件の付与)
応募期間や枠を限定して緊急性を高める。 - Action(行動の促進)
次のステップを明確にし、すぐ行動できるように促す。
一見するとシンプルで効果的な手法に思えますが、実際に活用してみると「なかなか応募者が増えない」「期待していた反応が得られない」と感じることもあるでしょう。この記事では、そんな悩みを抱える採用担当者に向けて、PASONAの法則を採用活動で成功させるためのポイントを、事例を交えながら解説します。
PASONAの法則で応募が集まらない理由とは?
まず、「なぜ結果が出ないのか?」について考えましょう。次のような原因がよく見られます。
1. 応募者の「悩み」を正しく捉えられていない
求人広告で「問題提起」をしたつもりでも、それがターゲット層の悩みとずれていると効果がありません。たとえば、若手エンジニア向けの求人で「スキルアップできます」と言っても、実際には「リモートワーク環境」や「チームの雰囲気」を重視している場合があるのです。
2. 問題の深掘りが浅い
応募者が「このままではまずい!」と感じるには、現状のリスクや課題をしっかりと伝える必要があります。表面的な説明だけでは心を動かせません。
3. 他社と差別化できる「魅力的な特典」が不足している
同じ業界で似たような求人が多い場合、応募者はどれを選べばよいか分からなくなります。特典が曖昧だと「この会社に応募しよう」とは思えません。
4. 限定条件が弱く、緊急性が伝わらない
「いつでも応募できる」と思われると、応募の決断が後回しにされてしまいます。
課題を解決するための具体的な方法
それでは、上記の課題をどう解決すればよいのかを具体的に見ていきましょう。ここでは事例も交えながら説明します。
1. 応募者のニーズを把握する:ペルソナを明確にする
応募者が本当に求めているものを正確に捉えるには、まず「ターゲット」を明確にすることが大切です。応募者の職種や年齢、働く上で重視していることなどを具体的に洗い出しましょう。
事例:中小企業のSE採用
ある中小企業がSEの求人広告で「スキルアップできる環境」をアピールしましたが、応募数が伸びませんでした。そこで応募者のアンケートを実施したところ、「スキルアップ」よりも「柔軟な働き方」や「リモートワーク可能かどうか」を重視していることが分かりました。
求人内容を「完全リモートワークが可能で、仕事と家庭を両立しやすい環境」という訴求に変更したところ、応募者が3倍に増加しました。
2. 問題を深掘りして「行動の必要性」を強調する
応募者が現状を放置した場合のリスクやデメリットをしっかり伝えることが大事です。
事例:若手営業職の採用
「現職でのキャリア停滞」を課題とする求人で、「このままではスキルが磨けず、5年後も同じポジションにいるかもしれません」と伝えました。さらに、「当社でのポジションなら3年以内に管理職のチャンスあり」と明確な解決策を提示した結果、応募率が大幅に向上しました。
3. 他社と差別化できる「特典」を明確にする
求人内容に応募者が「おっ」と思えるポイントを加えることが必要です。
事例:スタートアップのデザイナー募集
「自由な働き方」という特典だけでは競合他社との差別化ができませんでした。そこで、「希望する業務用PCを支給」「入社後半年間のスキル研修費用を全額負担」という具体的な特典を加えたところ、応募数が急増しました。
4. 緊急性を作り出す:限定条件を活用する
応募者が「すぐ応募しなければ!」と思うように、期間や人数に制限を設けましょう。
事例:専門職の採用
「応募は先着5名限定」「〇〇年〇月末まで」といった条件を付け加えたところ、応募者の決断が早まりました。その結果、短期間で採用枠を埋めることができました。
成功事例:IT企業のデザイナー募集
あるIT企業では、以下のような流れで求人広告を作成しました。
- Problem
「フリーランスとして安定した収入を得られない状況に悩んでいませんか?」 - Agitation
「収入が不安定だと、将来の計画も立てにくくなります。」 - Solution
「弊社ではリモートワーク可能な正社員デザイナーとして、安定収入と自由な働き方を両立できます。」 - Offer
「年間100万円分のスキルアップ支援制度や希望するPC支給もあります。」 - Narrowing down
「募集は先着10名限定。応募期限は〇〇年〇月末です。」 - Action
「今すぐこちらの応募フォームからエントリーしてください!」
この広告の結果、応募者数が従来比150%に増加し、即戦力となる人材を採用できました。
まとめ
PASONAの法則は、採用活動でも強力なフレームワークです。しかし、その効果を最大化するには応募者のニーズを正確に捉え、心を動かすメッセージを伝える工夫が必要です。本記事で紹介した「ターゲット分析」「特典の差別化」「限定条件の活用」などを取り入れて、より多くの応募者を引きつける求人広告を作ってみてください!