
変わる若者の職業観

最近の若者たちの「仕事」に対する考え方が、昔と大きく変わってきているのをご存じでしょうか?
以前は、「安定した収入」や「一生続けられる職場」が重視されていましたが、今の若い世代は「自分らしく働きたい」「社会に貢献したい」と考える人が増えています。これは、SNSやインターネットの普及で多様な価値観に触れる機会が増えたことや、リモートワークが広がったことで働き方の選択肢が広がったことなどが関係しています。
この記事では、そんな若者たちがどうして職業観を変えてきたのか、いくつかの具体例を交えながら考えてみたいと思います。そして、こうした新しい価値観が抱える課題についても触れていきます。
「お金よりもやりがい」を求める時代
今の若者が特に重視しているのが「やりがい」や「自己実現」です。もちろん収入が大事であることは変わりませんが、それだけではなく「自分らしさ」を大切にする傾向があります。
たとえば、26歳のAさんは、平日はIT企業でプログラマーとして働きながら、週末にはイラストレーターとしてフリーランス活動をしています。
「会社の仕事は生活の安定を支えるためにやっています。でも、イラストを描くことは自分の夢を叶える手段なんです。どちらも大事だから、両立しているほうが楽しいんですよね。」
こんなふうに、ひとつの仕事に縛られず、複数の役割を持つ「パラレルキャリア」が広がっています。これは副業を解禁する企業が増えたことも後押ししています。
働く場所に縛られない自由な働き方
リモートワークやフリーランスといった働き方も、若者たちの間で大きな人気です。特に、オフィスに通わず、場所を選ばずに働く「ノマドワーク」に憧れる人も増えています。
28歳のBさんは、世界中を旅しながらマーケティングの仕事をしているノマドワーカーです。彼は、固定のオフィスに縛られる働き方に違和感を覚え、思い切って自由な働き方に挑戦しました。
「旅先で得た経験や出会いは、仕事にもいい影響を与えてくれます。Wi-Fiさえあればどこでも仕事ができる時代だからこそ、自分のやりたいことを追いかけられるんです。」
Bさんのように、ノマドワークを選ぶ人たちは「働き方を通じて人生をもっと楽しみたい」という気持ちが強いようです。
社会のために働きたいという想い
さらに、最近注目されているのが「社会貢献」を仕事のテーマにする若者たちの増加です。環境問題や貧困問題などの課題に向き合いながら働くことに魅力を感じる人が増えています。
たとえば、30歳のCさんは環境保護をテーマにしたスタートアップを立ち上げ、リサイクル素材を使ったファッションブランドを運営しています。
「ただお金を稼ぐだけじゃなくて、地球環境のために役立つ仕事がしたいと思ったんです。同じ価値観を持つ仲間と一緒に働けるのもやりがいですね。」
「SDGs」や「エシカル消費」などへの関心が高まっている中で、Cさんのような若者が増えているのも納得です。
若者の新しい職業観が抱える課題
こうした前向きな変化がある一方で、いくつかの課題も見えています。
- 収入の不安定さ
フリーランスやスタートアップは魅力的ですが、収入が不安定になりがちです。特に景気変動の影響を受けやすい点が課題です。 - 「やりがい疲れ」への懸念
自己実現ややりがいを追求しすぎて、逆に心身が疲れてしまうケースも増えています。これがいわゆる「燃え尽き症候群」です。 - 周囲の理解不足
新しい働き方が一般的になりつつあるとはいえ、まだ周囲の理解が十分でないこともあります。「安定していない」という偏見を持たれる場合もあります。
これからの社会に求められる支援
若者たちが自分らしく働ける社会をつくるためには、企業や政府だけでなく、教育機関や家庭の役割も重要です。
- 企業の役割: フリーランスや副業を支援する制度の整備。
- 教育の役割: 学校でキャリア教育を充実させ、柔軟な働き方への理解を深める。
- 家庭の役割: 新しい価値観を尊重し、若者を応援する姿勢を持つ。
こうした取り組みが広がれば、若者たちが安心して新しい働き方に挑戦できるようになるでしょう。
終わりに
現代の若者たちが持つ職業観は、自己実現や社会貢献、柔軟な働き方を重視する方向へ進んでいます。これらは社会全体にとっても新しい可能性を広げるチャンスです。一方で、新しい価値観が抱える課題に目を向け、支援の仕組みをつくることが重要です。
これからも私たち一人ひとりが「働くこと」について考え、自分らしい道を見つけられる社会を目指していきましょう。