法人営業・個人営業別!職務経歴書の書き方比較
― 強みの見せ方はここまで違う ―
営業職の転職では、「法人営業(BtoB)」と「個人営業(BtoC)」の経験をどう書くかで、採用担当者の印象は大きく変わります。
同じ営業でも評価ポイントがまったく異なるため、どちらの営業スタイルなのかに応じた書き方が重要です。
まずは、両者の評価軸の違いから整理していきます。
1. 法人営業と個人営業では“見られている力”が違う
■ 法人営業(BtoB)で評価されるポイント
法人営業は「企業の課題解決」を軸に営業活動が進むため、次の力が重視されます。
- 課題を発見し、解決策を提案する力
- 複数の関係者を調整しながら進める力
- 長期的な商談を管理する力
- 大口案件や継続契約の獲得
- 業界知識・導入効果の理解
数字よりも、論理的にプロセスを組み立てる力が評価されます。
■ 個人営業(BtoC)で評価されるポイント
個人営業は「顧客の意思決定をその場で後押しする力」が重要です。
- 成約率・成約件数
- 接客やコミュニケーション力
- 分かりやすい説明スキル
- スピード感や判断力
- 紹介獲得力やフォロー力
こちらは、結果(数字)と顧客心理の理解が強い武器になります。
2. 法人営業の職務経歴書は「プロセス × 論理」が主役
法人営業の職務経歴書では、成果を出すまでの流れを具体的に書くことが重要です。
■ 書くべきポイント
① 担当企業・業界
- 担当社数(新規/既存)
- 顧客規模(従業員数・売上)
- 業界(製造・小売・ITなど)
② 取り扱い商材
- 商材の種類
- 単価
- 導入期間
③ 実績
- 年間売上
- 新規開拓件数
- 受注率
- 大型案件の金額
- 継続率
④ 営業プロセス
“どう課題を見つけ、どう提案し、どう導入につなげたか”を書くことで評価が上がります。
■ 【法人営業の事例】
《事例①:ITソリューション営業》
実績
- 担当企業:製造業10社
- 年間売上:前年比130%
- 新規獲得:15社(受注率18%)
- 大型案件:基幹システム4800万円を受注
プロセスの書き方(例)
企業課題のヒアリングから業務フローを分析し、改善点を数値化して提案。経営層・現場・システム部門を巻き込みながら調整を実施。導入後の効果検証まで担当し、継続契約につなげた。
3. 個人営業の職務経歴書は「結果 × 接客力」が主役
個人営業は、どれだけ売ったか・どれだけ信頼を得たかが評価につながります。
■ 書くべきポイント
① 商材と客層
- 保険、住宅、通信、美容など
- 顧客属性(年齢層・家族構成など)
- 単価
② 実績
- 成約率
- 成約件数
- 紹介件数
- リピート率
- 顧客満足度
③ 接客スタイル
- ヒアリング方法
- 説明の仕方
- 距離の縮め方
- クロージングの工夫
④ アフターフォロー
- フォロー件数
- クレーム対応経験
- 紹介につながったエピソード
■ 【個人営業の事例】
《事例②:保険営業》
実績
- 年間成約92件(支社トップ3)
- 新規契約率38%
- 紹介:月平均12件
- 解約率2%以下
エピソード(例)
初回面談で家計や老後の不安を丁寧に整理し、比較表を使った説明で顧客の迷いを解消。分かりやすさが評価され、紹介が増加。安定した成約獲得につながった。
4. 書き分けのポイントを比較すると一目で理解できる
| 項目 | 法人営業(BtoB) | 個人営業(BtoC) |
| アピール軸 | 課題提案・調整・プロセス | 成約率・接客・紹介 |
| 数字 | 売上/受注額/継続率 | 成約率/件数/単価 |
| 必要な説明 | 課題 → 提案 → 導入の流れ | 信頼構築 → ヒアリング → 成約 |
| 向いている文章 | ロジカル・事実中心 | 感情理解・スピード感 |
5. やりがちなNG例
■ 法人営業のNG
- 「お客様と仲良くなり受注しました」
→ 個人営業寄りで、プロセスが弱い - 数字の記載が少ない
- 提案内容が不明確
■ 個人営業のNG
- 専門用語を多用して難しくする
- プロセス説明が長すぎる
- 顧客心理への寄り添いが書かれていない
6. 応募職種ごとの使い分け
■ 法人営業に応募する場合
- ロジカル、定量的に
- 課題 → 提案 → 調整 → 導入 の流れを書く
- 社内外の調整力を明確に
■ 個人営業に応募する場合
- 成約率・件数を中心に
- 心理への寄り添い方を記載
- 紹介数やアフターフォローを強調
7. まとめ
- 法人営業:プロセスと論理性
- 個人営業:結果と接客力
この違いを理解して書き分けることで、職務経歴書の説得力は大きく上がります。