営業職転職後のモチベーション維持法 ― 壁にぶつかった40代営業が見つけた“続ける力”

2025.11.22
コラム

転職して新しい環境に飛び込むとき、誰もが「今度こそ結果を出したい」「今度こそ自分らしく働きたい」と意気込みます。
しかし現実はそう簡単ではありません。
特に営業職は、成果が数字としてはっきり表れる仕事。結果が出ない時期には、焦りや孤独を感じることも多いでしょう。

「転職したのに、思うように成果が出ない」「やる気が続かない」——そんな悩みを抱える営業パーソンは少なくありません。

今回は、40代で営業職に転職したAさんの事例を交えながら、“モチベーションを保つ方法”をわかりやすく紹介します。


1. 転職直後にやってくる「やる気の壁」

Aさん(43歳・前職:メーカー営業)は、経験を活かしてITサービス企業に転職しました。
入社当初は「すぐに結果を出せるはず」と意気込んでいましたが、3か月もすると状況が一変します。

  • 商材の内容が複雑で理解が追いつかない
  • 新規開拓のやり方が前職とまったく違う
  • 報告ルールや会議文化が合わない
  • チームが若手中心で距離を感じる

そんな中で、目標未達が続くと次第に自信を失い、「自分はもう通用しないのでは」と落ち込む日も増えていきました。

Aさんのように、転職後にモチベーションが下がるのは珍しいことではありません。
多くの場合、原因は“実力不足”ではなく、“新しい環境に順応するストレス”なのです。


2. 結果を焦らず、「なぜこの仕事を選んだか」を思い出す

モチベーションを保つために、まず大切なのは“仕事の意味”を思い出すことです。

ある日、Aさんは上司との面談でこう言われました。

「今は結果よりも、“なぜこの仕事を選んだのか”をもう一度思い出してみてください。」

その言葉にハッとしたAさんは、初心を振り返りました。
「自分の扱う商品で、お客様の課題を本気で解決したい」と思って転職したことを思い出したのです。

成果が出ない時期こそ、**「何のためにこの仕事をしているのか」**を再確認することが大切。
目的が明確になると、行動に迷いが減り、「今の努力は意味がある」と感じられるようになります。


3. モチベーションを保つための3つのコツ

Aさんはそこから、自分なりの「やる気を保つ習慣」を見つけていきました。
ポイントは次の3つです。


小さな成功を「見える化」する

営業職では、契約や受注などの“最終結果”だけに目が行きがちです。
しかし、その過程にはたくさんの“小さな成功”があります。

Aさんは、それを見える形にするために次のような工夫をしました。

  • 1日3件のアポ獲得を目標にする
  • 断られた理由を必ずメモし、次の改善につなげる
  • 顧客から感謝の言葉をもらったら、必ず日報に残す

これを続けた結果、「できたこと」が少しずつ増え、達成感が積み上がっていきました。
成果がまだ出ていなくても、「自分は前に進んでいる」と実感できたのです。


他人と比べず、「昨日の自分」と比べる

転職直後は、つい同僚と比べて落ち込んでしまうもの。
特に若手が次々と成果を上げていると、自分だけ取り残されたように感じることもあります。

Aさんもそうでしたが、メンターの一言で考え方が変わりました。

「他人は競争相手ではなく、学びのヒントだよ。比べるなら“昨日の自分”にしよう。」

それ以来、Aさんは他人の成果を“刺激”と受け止め、自分の成長を“前日の自分”と比べるようになりました。
「昨日より1件多くアポを取れた」「断られても落ち込む時間が短くなった」——そんな小さな前進を喜べるようになったのです。


③ “人とのつながり”をエネルギーに変える

やる気は、一人で維持するものではありません。
Aさんは、意識的に“人とのつながり”を増やすようにしました。

たとえば、

  • 他部署の営業と月1回ランチをして情報交換
  • 成功事例を共有する社内チャットを開設
  • 顧客との雑談メモをチームで共有

こうした交流を通じて、励まし合える関係が増えました。
営業という仕事は孤独に見えて、実は「チーム戦」。
人との関わりがあることで、モチベーションは何倍にもなります。


4. 科学的に見ても、“内側のやる気”が長続きする

心理学では、モチベーションには2種類あるとされています。

  • 外的モチベーション:報酬・評価・昇進など、外から与えられる動機
  • 内的モチベーション:成長・達成感・貢献実感など、自分の内側から湧く動機

転職直後は「早く結果を出したい」「評価されたい」といった外的モチベーションに頼りがちです。
しかし、長くモチベーションを保つには、内的モチベーションを育てることが欠かせません。

Aさんも「顧客の役に立てた」「昨日より成長できた」といった“内側の充実感”に目を向けるようにした結果、安定して前向きな気持ちを保てるようになりました。


5. 今日からできるモチベーション維持の工夫

Aさんの経験をもとに、すぐに実践できる方法を紹介します。

目標を「分けて考える」

「月1,000万円の売上」といった大きな目標ではなく、
「1日5件の商談」「週2件の成約」などに分解すれば、毎日達成感を味わえます。

朝一番に“やる気スイッチ”を入れる

お気に入りの音楽を聴く、1日の目標を声に出すなど、自分なりのルーティンを決めておきましょう。

成功体験ノートをつける

「どんな時に成果が出たのか」を記録しておくと、自分の“勝ちパターン”が見えてきます。
落ち込んだ時に読み返すと、自信が戻ってきます。

信頼できる“応援者”をつくる

悩みを話せる上司や同僚、顧客を見つけておくこと。孤立を防ぎ、前向きな気持ちを保てます。

● “学び”を楽しむ

営業本や商談の中で得た気づきをメモするだけでも、成長実感が生まれます。
「学ぶ=楽しい」と思えるようになると、仕事が自然と充実していきます。


6. 壁にぶつかった時こそ、「整える」ことを意識する

転職から1年後、Aさんは社内トップ3の営業成績を達成しました。
その時、彼が語った言葉が印象的です。

「モチベーションは“上げる”ものじゃなく、“整える”ものです。」

気分の浮き沈みをなくすことはできません。
だからこそ、やる気が下がる時期も受け入れながら、自分を整える意識が大切なのです。


7. まとめ:モチベーションは「結果」ではなく「習慣」から生まれる

営業職でのモチベーションは、成果が出たから上がるものではありません。
成果が出る行動を続けられる状態を作ることが何より大切です。

Aさんのように、

  • 仕事の意味を見失わない
  • 小さな成功を積み重ねる
  • 人とのつながりを大切にする

この3つを意識して働くことで、自然と「やる気」と「成果」の好循環が生まれます。

転職後の営業職は決して楽ではありません。
ですが、モチベーションを“整え続ける力”を持つ人は、どんな環境でも結果を出し続ける営業へと成長していきます。


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