営業職転職後に求められるリーダーシップとは
―「個の成果」から「チームを導く力」へ―
営業職として転職したばかりの頃、多くの人が考えるのは「早く結果を出して認められたい」ということ。
もちろんそれは大切ですが、実は転職後に本当に求められているのは、“チームを動かす力”です。
特に30代後半以降の転職では、「自分が売る力」だけでなく、「周りを巻き込んで成果を出す力」が重視されます。
この記事では、転職後に求められるリーダーシップの考え方と、実際の事例を交えながら分かりやすく紹介します。
1. なぜ転職後にリーダーシップが大切なのか
●転職直後は「信頼の空白」がある
新しい職場では、あなたの過去の実績を誰も知りません。
前職でどれだけ成果を出していても、転職先ではゼロからのスタートです。
この“信頼の空白”を埋めるには、誠実な姿勢とリーダーシップが欠かせません。
上司や同僚、後輩に「この人と働きたい」と思ってもらうことが、結果を出すより先に必要な第一歩なのです。
●営業のリーダーは「人を動かす営業」
リーダーシップとは、役職ではなく“影響力”のこと。
営業職はチームや他部署、取引先など、たくさんの人と協力して仕事を進めます。
周囲に良い影響を与えられる人ほど、組織全体の成果を高める存在になれるのです。
2. リーダーシップの3つのポイント
転職後に意識したいのは、次の3つです。
(1)信頼を築く「聴く力」
まず最初に大切なのは、“話を聞く姿勢”です。
転職直後は、まず社風や営業の流れを理解することから始めましょう。
「なぜこの方法を取っているのか」「お客様との関係はどうなっているのか」などを丁寧に聞くことで、相手の信頼を得られます。
逆に、前職のやり方を押し付けてしまうと、「この人は話を聞かない」と壁を作られてしまいます。
事例:Aさん(38歳/メーカー営業)
前職ではトップセールスだったAさん。
転職後、早速提案のやり方を変えようとしましたが、現場は反発。
そこで彼は、まず同僚の営業に同行し、現場の声を丁寧にヒアリング。
1か月後、チーム全体の課題を整理し、みんなで改善策を考える形に変えました。
結果、周囲の信頼を得て、チームが一体化。
「共感から始まるリーダーシップ」を体現した成功例です。
(2)成果を伸ばす「見える化の力」
リーダーは自分が売るよりも、チーム全体の成果を伸ばすことが求められます。
そのためには、「なぜ成果が出たのか」をわかりやすく共有する仕組みが必要です。
事例:Bさん(42歳/IT営業)
Bさんが転職した先は、受注率が低いチームでした。
メンバーは頑張っていましたが、成功パターンの共有がなく、営業がバラバラ。
そこでBさんは、案件の進行状況をExcelで「提案中」「見積提出」「決裁待ち」とフェーズごとに整理。
どこで失注が多いかを見える化し、チーム全員で改善に取り組みました。
結果、3か月後に受注率が15%アップ。
Bさんは“仕組みでチームを動かすリーダー”として信頼を得ました。
(3)チームを前向きにする「励ましの力」
営業の現場は数字がすべて。
成果が出ないと、チームの雰囲気が沈みがちになります。
そんなときにリーダーが果たすべき役割は、メンバーの気持ちを立て直すことです。
事例:Cさん(45歳/不動産営業)
転職初年度に景気の影響で売上が30%減。
社内も重たい空気に包まれていました。
そこでCさんは、週に1回「小さな成功を共有する時間」を設けました。
「新しいお客様に会えた」「前回より提案が通った」など、どんなに小さなことでもチーム全員で称え合う。
それを続けるうちに雰囲気が明るくなり、半年後には業績が回復。
Cさんのように「前向きな空気をつくること」も、リーダーシップの大切な役割です。
3. 「自分の成果」から「チームの成果」へ
営業職はどうしても、個人の数字で評価されがちです。
しかし転職後に本当に評価されるのは、“チームの成果を生み出せる人”です。
リーダーシップとは、
- 周囲の意見を尊重し、
- 課題を共有し、
- 一緒に乗り越える姿勢を持つこと。
その姿勢こそが、信頼される営業パーソンをつくります。
4. 転職直後からできるリーダーシップ実践法
ステップ①:最初の1ヶ月は「観察と傾聴」
最初から動きすぎるより、まず職場をよく観察すること。
「この会社は何を大切にしているのか」を理解することが、次の行動の基盤になります。
ステップ②:チームの目標を「共通化」する
個人プレーが強い職場ほど、全体の目標がぼやけがち。
「今月どう達成するか」「来期に向けて何を変えるか」を、全員が共有することが大切です。
ステップ③:成功のパターンを共有する
成果を出した人のやり方を分析し、「なぜうまくいったか」をみんなで共有する。
再現できる形にすることで、チーム全体の底上げができます。
ステップ④:困っている人に声をかける
営業は孤立しやすい仕事です。
「最近どう?」の一言が、メンバーを救うこともあります。
助け合う関係をつくることで、チームの信頼が深まります。
ステップ⑤:「結果」よりも「挑戦」を称える
数字だけでなく、「新しい提案をした」「失敗を恐れず動いた」など、挑戦そのものを評価しましょう。
リーダーが挑戦を歓迎する姿勢を見せると、チームは前向きになります。
5. 40代からのリーダーシップは「経験を伝える力」
40代以降の転職では、「柔軟性が足りない」と見られがちです。
ですが、本当はこの年代こそ“経験を伝えられる力”を持っています。
自分の成功や失敗を言葉にして共有できる人は、チームから尊敬されます。
リーダーとは、年齢ではなく「人を成長させる知恵を持つ人」です。
6. まとめ:リーダーシップは「姿勢」で決まる
営業職転職後に求められるリーダーシップとは、
「周囲を巻き込みながら成果を出す力」です。
その基本は次の3つ。
- 信頼を築く誠実なコミュニケーション
- 成果を再現できる仕組みづくり
- チームを前向きに導く姿勢
これを意識すれば、役職がなくても「この人と働きたい」と思われる存在になれます。
転職直後は不安も多いもの。
しかし、リーダーシップを発揮することで、あなたは“新しい職場の中心人物”になれます。
個人の成果を超えて、チームの成功をつくれる営業パーソンこそ、これからの時代に最も評価される存在です。