固定給と歩合給の違いと選び方(営業職転職編)
はじめに:給与体系の違いで働き方は変わる
営業職への転職を考えるとき、多くの人が気にするのが「年収」や「インセンティブ(成果給)」です。
その中でも、固定給と歩合給の割合は、働き方やモチベーション、収入の安定感に大きく関わります。
たとえば、不動産営業は歩合が多く、メーカー営業は固定給中心。
同じ営業職でも、業界や会社によって報酬の仕組みはまったく違います。
この記事では、固定給と歩合給の違い、それぞれのメリット・デメリット、
そして「転職時にどちらを選ぶべきか」を、実際の事例を交えて分かりやすく解説します。
1. 固定給とは?──安定を重視した給与体系
固定給とは、毎月決まった額が支払われる給与のことです。
営業成績に関係なく一定の収入が得られるため、生活の安定性が高いのが特徴です。
特徴
- 毎月の収入が変わらない
- 生活設計がしやすい
- 成果は賞与や昇給で評価されることが多い
メリット
- 生活が安定する
家計管理がしやすく、住宅ローンなどの審査にも通りやすい。 - 腰を据えてスキルを磨ける
目先の契約よりも、顧客との信頼関係づくりや提案力アップに時間をかけられる。
デメリット
- 成果がすぐに給与に反映されにくい
成績を上げても、すぐ給料に反映されないことがある。 - モチベーションが下がることも
「頑張っても給料が変わらない」と感じてしまう人もいる。
事例①:メーカー営業・Aさんの場合
大手住宅設備メーカーに勤めるAさん(35歳)は、月給35万円+賞与年2回の固定給型。
「商談期間が長いので、安定した収入がありがたい」と話します。
顧客との関係構築に時間をかけられるため、長期的な営業スタイルに合っているそうです。
2. 歩合給とは?──成果が収入に直結するスタイル
歩合給(インセンティブ)は、自分の営業成績に応じて報酬が変わる仕組みです。
契約件数や売上額などによって報酬が増える、いわば成果主義型の給与体系です。
特徴
- 成績次第で給与が変わる
- 上限がないため高収入を狙える
- 月ごとに収入の変動が大きい
メリット
- 頑張りがすぐに報われる
成果がダイレクトに給与へ反映されるため、やりがいを感じやすい。 - 実力次第で高収入が可能
トップ営業なら年収1000万円超も珍しくない。 - 実績がキャリアにも生きる
数字で成果を示せるため、次の転職でも評価されやすい。
デメリット
- 収入が不安定になりやすい
成績が落ちると収入も下がり、生活が不安定になる。 - 短期目標に偏りがち
契約を優先しすぎて、顧客満足をおろそかにしてしまうリスクもある。 - プレッシャーが大きい
ノルマの重圧に耐えられず、離職する人も少なくない。
事例②:不動産営業・Bさんの場合
不動産仲介会社に勤めるBさん(29歳)は、月給20万円+歩合給。
契約1件ごとに10〜20万円の歩合がつき、月収50万円を超えることも。
「成果がそのまま給料になるのが魅力」と話す一方で、「閑散期は不安」とも。
歩合給は、成果を出し続けられるタイプの人に向いています。
3. 固定給+歩合給の「ハイブリッド型」も増えている
最近は、固定給にインセンティブをプラスする「ハイブリッド型」も増えています。
たとえば「基本給30万円+目標達成率に応じて5〜20万円支給」といった形です。
固定給の安定感と、歩合給のモチベーション維持を両立できるのが特徴です。
事例③:IT営業・Cさんの場合
SaaS系IT企業に勤めるCさん(32歳)は、月給32万円+達成インセンティブ。
チームで目標を追う文化があり、「収入は安定しつつ、成果次第で年収が100万円単位で変わる。ちょうどいい緊張感がある」と話します。
安定も成果も両方大事にしたい人には、このハイブリッド型が向いています。
4. どちらが向いている?──タイプ別チェック
自分に合った給与体系を選ぶために、次のポイントでチェックしてみましょう。
固定給型が向いている人
- 長期的な信頼関係を築く営業をしたい
- 安定した収入で生活を守りたい
- チームで成果を出すのが好き
- コツコツ努力するタイプ
→ メーカー営業・法人営業・ルート営業など
歩合給型が向いている人
- 数字で評価されたい
- 成果に応じて収入を上げたい
- 個人プレーが得意
- 競争や挑戦が好き
→ 不動産営業・保険営業・人材紹介営業など
ハイブリッド型が向いている人
- 安定も挑戦も両方ほしい
- 計画的に目標を追える
- チームでも個人でも動ける
→ IT営業・広告営業・SaaS営業など
5. 転職時の注意点──給与体系の「落とし穴」
転職の際は、単に「年収の数字」だけで判断しないことが大切です。
給与体系の中身をしっかり確認しましょう。
チェックポイント
- 歩合給の計算方法
売上・利益・粗利率のどれを基準にするかで大きく変わる。 - 最低保証給の有無
成果ゼロでも一定額が支払われるかどうか確認。 - ノルマ未達時のペナルティ
減給やボーナスカットがある会社もある。 - 評価基準が個人かチームか
文化に合わないとストレスになる。
事例④:転職で失敗したDさん
保険営業に転職したDさん(40歳)は、面接で「年収1000万円も可能」と言われて入社。
しかし実際は歩合率が低く、固定給も15万円しかない厳しい条件でした。
「成果を出せば稼げる」という言葉に惹かれてしまった典型例です。
給与体系の仕組みを理解することが、転職成功のカギです。
6. まとめ──給与体系は「生き方の選択」
営業職の給与体系は、ただの「お金の仕組み」ではありません。
それは、自分の働き方や生き方そのものを決める選択です。
- 安定と継続を重視するなら「固定給」
- 成果と挑戦を重視するなら「歩合給」
- バランスを重視するなら「ハイブリッド型」
大切なのは、「どんな報酬体系が自分の性格・価値観・生活に合うか」を見極めること。
年収の額だけでなく、ストレス・やりがい・将来設計も含めて考えましょう。
最後に:転職エージェントを活用して「リアルな情報」を得よう
面接で給与体系を細かく聞くのは気が引けるものです。
そんなときは、転職エージェントを活用するのが有効です。
企業ごとの歩合率・インセンティブ実績・平均年収など、現場のリアルな情報を教えてくれます。
営業職の転職は、単なる「年収アップ」ではなく、自分らしい働き方を選ぶことです。
固定給か、歩合給か。
正解は人それぞれ。大事なのは、自分がどんな未来を描きたいかです。
その答えをもとに、あなたに合った働き方を選んでいきましょう。