SaaS営業職への転職で必要な知識|事例で学ぶ「成果を出す営業」の思考法
ここ数年、営業職の中でも注目を集めているのが 「SaaS営業」 です。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、
クラウド型サービスを提供するSaaS企業は急成長を遂げています。
その一方で、「SaaS営業って、普通の営業と何が違うの?」という疑問を持つ人も多いでしょう。
SaaS営業は、単に“契約を取る”仕事ではなく、“顧客の成功を支援する”仕事 です。
本記事では、SaaS営業への転職を考えている方に向けて、
必要な知識やスキル、そして成功事例 をわかりやすく紹介します。
1. SaaS営業とは?「売って終わり」ではなく「成功まで支える」営業
SaaS(Software as a Service)とは、
クラウド上でソフトウェアを提供するサービスのことです。
Salesforce、Slack、Zoom、freeeなどが代表的な例ですね。
従来のように買い切り型でソフトを販売するのではなく、
月額・年額のサブスクリプション契約で継続的に利用してもらうのがSaaSモデルの特徴です。
そのため、SaaS営業では次のような考え方が欠かせません。
- 契約よりも「継続利用(リテンション)」が重要
- 契約後の成果を一緒に作る「カスタマーサクセス思考」
- 営業・マーケ・CSが一体で動くチームプレー
つまりSaaS営業は、“売って終わり”の営業ではなく、
**「顧客の成果を実現する営業」**なのです。
2. SaaS営業の主な職種と役割
SaaS企業では、営業組織が細かく分業化されています。
自分がどの職種に向いているかを理解しておくことが、転職成功の第一歩です。
| 職種 | 役割 | 特徴 |
| インサイドセールス(IS) | 見込み顧客へのアプローチ・商談創出 | 電話やメール中心。マーケ部門との連携が多い |
| フィールドセールス(FS) | 商談・提案・契約締結 | 顧客課題のヒアリングと提案力が鍵 |
| カスタマーサクセス(CS) | 導入支援・利用定着・解約防止 | 契約後の成果づくりに伴走する |
| プリセールス | 技術的な観点からの営業支援 | IT・システム理解が求められる |
SaaS営業は、チームで顧客の成功を支える仕事です。
「誰が契約を取ったか」よりも、「チームでどれだけ顧客を成功に導けたか」が評価されます。
3. SaaS営業職で求められる5つの知識
SaaS営業では、一般的な営業スキルに加えて、
ITやビジネスモデルに関する理解も欠かせません。
ここでは転職前に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
① SaaSビジネスモデルの理解
SaaS企業の成長を支える指標は、
「LTV(顧客生涯価値)」と「チャーンレート(解約率)」です。
契約件数よりも「どれだけ長く利用してもらえるか」が重要。
つまり、導入後に成果を出せる仕組みを作ることが営業の役割です。
例:あるSaaS企業では、「契約数」ではなく
「6か月後も活用率80%を維持している顧客数」を営業評価の指標としています。
② 顧客課題を深く理解する力
SaaS営業では、商品説明よりも 「顧客の課題をどれだけ正確に理解できるか」 が重要です。
事例:A社・佐藤さん(前職:商社営業)
最初は製品説明中心で成果が出ませんでしたが、
「営業データが分散して分析できない」という課題に着目し、
“営業活動の可視化”を提案。結果、成約率が2倍に。
SaaS営業の価値は「何を売るか」ではなく、「何を解決するか」にあります。
③ デジタルマーケティングの理解
SaaS企業では、マーケティング部門との連携が密接です。
リード(見込み顧客)の獲得・育成の流れを理解しておくことで、
より効果的な提案ができるようになります。
知っておくと良いキーワード:
- MA(マーケティングオートメーション)
- CRM(顧客管理システム)
- インバウンド/アウトバウンドリード
- ウェビナー・ホワイトペーパー活用
マーケの仕組みを理解しておくことで、
自分の営業活動を「データで改善」できるようになります。
④ IT・クラウドの基礎知識
技術職ではないものの、SaaS営業には 最低限のITリテラシー が必要です。
顧客からの質問に簡潔に答えられるレベルを目指しましょう。
覚えておきたいキーワード:
- クラウドとオンプレミスの違い
- SaaS/PaaS/IaaSの関係
- API連携とは何か
- データセキュリティの基本
“わからないから説明できない”では信頼を得られません。
営業でも「システムの仕組みを理解している」ことが差になります。
⑤ カスタマーサクセス思考
SaaS営業の根幹にあるのが 「カスタマーサクセス思考」 です。
顧客が契約後も成果を出し続けられるように支援することが、最も重要です。
事例:B社・田中さん(前職:不動産営業)
契約後も定期的に訪問し、「他社で成果が出た活用事例」を紹介。
結果、解約率が業界平均の半分以下になり、紹介による新規契約も増加。
契約はゴールではなくスタート。
「顧客の成功を一緒に喜べる」姿勢こそ、SaaS営業の本質です。
4. SaaS営業に向いている人の特徴
SaaS営業は、次のようなタイプの人に向いています。
- 論理的に課題を整理できる人
- データや数字で考えるのが得意な人
- 顧客の成功を自分の喜びとして感じられる人
- 新しい知識を吸収し、変化を楽しめる人
成果を“数字”で追いながら、顧客の“成長”にも関われる。
そんな両立ができるのが、SaaS営業のやりがいです。
5. 未経験からSaaS営業へ転職する3ステップ
SaaS営業は人気職種ですが、未経験でもチャンスは十分あります。
以下の3ステップを意識して準備してみましょう。
ステップ①:業界理解から始める
YouTubeや業界メディアで「SaaSとは」「カスタマーサクセスとは」などを学ぶ。
基礎用語を押さえるだけで面接の印象が大きく変わります。
ステップ②:前職経験を“課題解決力”として整理
たとえば、
- 商社営業 → ヒアリング力
- 不動産営業 → 顧客フォロー力
- 広告営業 → マーケ視点
自分の経験をSaaS営業の価値に置き換えて伝えることが大切です。
ステップ③:ツールを実際に触ってみる
SalesforceやHubSpotの無料トライアルを試しておくと、
面接時に理解度を具体的に話せます。
また、ChatGPTなどAIツールを活用していると話せると好印象です。
6. 転職成功事例
● 事例1:メーカー営業からSaaS営業へ(30代男性)
価格競争に疲れ、「成果で勝負できる営業」を求めて転職。
IT知識ゼロからの挑戦でしたが、課題ヒアリング力が評価され半年でトップセールスに。
「顧客の成長を支える仕事が楽しい」と語ります。
● 事例2:人材業界出身の女性がCS職で活躍
前職で培ったフォロー力を武器にカスタマーサクセス職へ。
「顧客と並走する姿勢」が評価され、入社3ヶ月で社内表彰を受ける。
現在は開発チームと連携し、プロダクト改善にも関わっています。
7. まとめ|SaaS営業は“知識より姿勢”
SaaS営業への転職で求められるのは、
ITスキルよりも「顧客の成功に本気で向き合う姿勢」です。
- SaaSモデルを理解し、LTV思考で動く
- 顧客課題を正確に捉える
- デジタルやクラウドの基礎を押さえる
- 成果を顧客と一緒に作り上げる
SaaS業界は今後も成長が続く分野です。
「誰かの成果を支えたい」「顧客と一緒に成長したい」——
そんな想いを持つ方に、SaaS営業は最適なキャリアになるでしょう。