人材業界営業職転職の実態|成果主義の中で光る「人間力」と「提案力」
転職市場を支える“人材業界”。
求職者と企業の「出会い」をつくるこの業界では、営業職が最前線で活躍しています。
ただし、華やかに見える一方で、実際の現場は想像以上に厳しい世界。
成果主義が徹底され、精神的なタフさも求められます。
この記事では、人材業界の営業職のリアルな実態を、実際に転職した人たちの事例を交えながら解説します。
人材業界を目指す方はもちろん、営業職としてキャリアアップを考える方にも参考になる内容です。
1. 人材業界営業職の種類と仕事内容
人材業界の営業といっても、会社によって仕事内容はかなり異なります。
主なタイプは次の3つです。
① 人材紹介(エージェント型)
企業と転職希望者の両方を担当し、最適なマッチングを行う仕事です。
求職者には「キャリアアドバイザー」として、企業には「採用コンサルタント」として関わります。
- 代表企業:リクルートエージェント、doda、パーソルキャリア など
- 報酬は成果報酬型(入社が決まった時点で年収の30〜35%が企業から支払われる)
特徴: 成果が明確に数字で見える分、プレッシャーも強い環境です。
「人の人生を支える」やりがいと、「数字で評価される」厳しさが同居しています。
② 人材派遣(スタッフ派遣型)
企業に派遣スタッフを提案し、就業後のフォローまで担当する営業です。
契約更新や労務トラブル対応など、関係を長く築く力が問われます。
- 代表企業:スタッフサービス、パソナ、テンプスタッフ など
- 売上は「契約単価 × 稼働人数」で決まる
特徴: 企業とスタッフの“橋渡し”として、現場に寄り添う姿勢が大切。
クレーム対応や相談など、細やかな気配りが求められます。
③ 求人広告・採用支援(メディア営業型)
企業の採用課題を聞き取り、求人広告や採用サイト、SNS採用施策を提案する営業です。
- 代表企業:マイナビ、リクナビ、エン・ジャパン など
- 成果は広告出稿数や採用実績で評価
特徴: 広告代理店のような仕事で、マーケティングやデータ分析のスキルも必要です。
「採用×マーケティング」に関心のある方に向いています。
2. 人気と現実:人材業界営業職の本当の姿
人材業界は「人の役に立てる」「社会貢献度が高い」と人気があります。
ただ、実際に転職してみると、想像以上に成果主義が厳しいという声が多く聞かれます。
◆ 年収の目安
| キャリア | 年収目安 |
| 未経験スタート | 350〜450万円 |
| 経験者(2〜3年) | 500〜650万円 |
| リーダークラス | 700〜900万円 |
| 管理職 | 1000万円以上も可能 |
成果が出れば高収入を得られますが、数字が振るわないとボーナスやインセンティブが減るため、安定感には欠けます。
3. 事例①:営業未経験から人材紹介会社へ転職したAさん(32歳)
地方メーカーの営業を辞め、「人と関わる仕事がしたい」と転職したAさん。
入社直後は、業務量とスピード感に驚いたと話します。
「毎日50件以上の企業へ電話、求職者面談、求人票作成…。時間との戦いでした。」
3か月間成果が出ず、上司から「数字が全て」と言われて落ち込んだ時期も。
しかし半年後、初めて転職成功者を出し、感謝の言葉をもらったことで仕事への姿勢が変わります。
「自分のサポートで誰かの人生が動いた。その瞬間、努力が報われた気がしました。」
その後はヒアリング力を磨き、1年後には月間MVPを受賞。
年収も450万円から620万円へアップしました。
4. 事例②:派遣営業で信頼を築き、リーダーへ昇進したBさん(40歳)
前職は携帯ショップのリーダー。
「もっと人の成長を支援したい」との思いで派遣会社に転職しました。
最初の壁は、派遣スタッフの体調不良トラブル。
企業担当者から厳しい指摘を受け、「人を扱う責任の重さ」を痛感したと言います。
それでも夜間対応やフォローを続け、徐々に信頼を獲得。
3年目にはリーダーへ昇進し、年収も550万円に。
「この仕事は誠実さが何より評価される。数字より“信頼”が大事です。」
5. 人材業界営業職の「やりがい」と「厳しさ」
◆ やりがい
- 求職者や企業の人生・成長に関われる
- 成果が明確に評価・報酬に反映される
- 経営層や人事と関われる機会が多い
- 提案力・コミュニケーション力が磨かれる
◆ 厳しさ
- 成果主義が徹底しており、数字に追われる
- 感情労働が多く、精神的な疲労が大きい
- 離職率が高く、常に環境が変化する
- 夜間・休日対応が必要な場合もある
「やりがいと厳しさ」が表裏一体なのが、この業界の特徴です。
6. 向いている人の特徴
人材業界で成果を出す営業には、いくつかの共通点があります。
| 特徴 | 内容 |
| 共感力 | 求職者・企業双方の立場で考えられる |
| 継続力 | 断られても粘り強く提案できる |
| 論理的思考 | 採用課題を分析し、提案に落とし込める |
| 自己管理 | 多忙な中でも計画的に動ける |
| 学習意欲 | 職種や業界知識を積極的に学べる |
“営業力”に加え、“人間力”が求められる仕事です。
7. 転職時にチェックすべきポイント3つ
① ビジネスモデルを理解する
人材紹介・派遣・広告など、自分が「どんな支援をしたいか」で選ぶ業種が変わります。
② 評価制度とインセンティブの仕組み
個人主義かチーム主義かで、働き方も大きく違います。
「どんな評価スタイルが自分に合うか」を確認しておきましょう。
③ 教育・フォロー体制
未経験歓迎の求人は多いですが、研修が形だけの会社もあります。
面接時に「どんなサポートがあるか」を具体的に聞くのがおすすめです。
8. キャリアパスと将来性
人材業界の営業職は、経験を積むほどキャリアの幅が広がります。
- キャリアアドバイザーやマネージャー職
- 企業の人事・採用担当へ転職
- 独立してキャリアコンサルタントへ
- 教育・研修・HRテック分野へのステップアップ
最近は「採用DX」「HRデータ分析」「人事コンサル」など新しい分野も拡大中。
テクノロジーやマーケティングを理解した営業人材は、特に重宝されています。
9. まとめ|「数字」と「想い」を両立できる人が活躍する
人材業界の営業職は、成果主義の中で“人の人生を支える”仕事です。
数字を追うだけでは長く続きません。
相手の想いに本気で寄り添える人こそ、結果を出し続けています。
転職を考えるときは、「なぜ人材業界で働きたいのか」という軸を明確にし、
その想いに共感してくれる企業を選びましょう。
◆ 最後に
成果を出す人ほど、こんな言葉を口にします。
「数字は後からついてくる。
まずは“人”に向き合うことが大切。」
もしあなたが“人を支える仕事”に魅力を感じているなら、
人材業界の営業職は、きっと挑戦する価値のある世界です。