医療機器営業職転職の実態と求められるスキル

2025.10.16
コラム

~知識と信頼で挑む、社会貢献度の高い仕事~

はじめに:医療機器営業は「命を支える仕事」

医療機器営業の仕事は、ただの“営業”ではありません。
手術室で使われる機械や、患者さんの命を支える装置など、人の「生死」に関わる製品を扱います。

そのため、他の業界とは違い、高い責任感と専門知識が求められます。

近年は、医療のデジタル化や在宅医療の拡大により、医療機器業界のニーズが増加。
一方で、求められるスキルも高度化し、未経験者にとってはややハードルの高い業界でもあります。

この記事では、医療機器営業の実態と転職成功のポイントを、実際の事例を交えながらわかりやすく紹介します。


1. 医療機器営業の仕事内容

医療機器営業といっても、扱う製品によって仕事内容はさまざまです。
ここでは代表的な3つのタイプを紹介します。

消耗品・汎用機器を扱う営業

注射針や手袋、カテーテルなど、日常的に使われる消耗品を扱います。
価格競争が激しいため、営業力と人間関係づくりがカギになります。
病院や代理店を定期的に訪問し、信頼関係を築くルート営業が中心です。

高額・専門機器を扱う営業

CTやMRI、内視鏡、手術支援ロボットなど、高価格・高機能な機器を扱います。
医師や臨床工学技士など専門職を相手にするため、正確な知識と説明力が必要です。
ときには手術現場で操作をサポートすることもあります。

研究・検査機器を扱う営業

大学病院や製薬企業、検査センターなどへの提案を担当します。
科学的な知識や英語力が求められることもあり、よりアカデミックな営業スタイルです。

このように、医療機器営業は「モノを売る」よりも「現場の課題を解決する」提案型営業です。


2. 医療機器営業のリアル:厳しさとやりがい

売上よりも「安全性」が大切

医療機器営業では、数字よりもまず「安全性」や「適正使用」が重視されます。
誤った使い方が患者さんの命に関わるため、正確な情報提供と倫理観が欠かせません。

医療現場に密着した働き方

病院のスケジュールに合わせて行動するため、勤務時間は不規則になりがちです。
手術に立ち会う日は早朝から出勤することもあります。
その分、自分の提案が医療現場で実際に役立つ瞬間を間近で感じられる、やりがいの大きい仕事です。

転職市場では経験者が有利

医療機器業界は即戦力を求める傾向が強く、経験者採用が多いのが実情です。
しかし、営業経験と学ぶ意欲があれば、異業種からの転職も十分に可能です。
実際、OA機器やメーカー営業からの転職成功例も増えています。


3. 事例①:IT営業から医療機器営業へ転職したAさん

Aさん(35歳・男性)/前職:ITソリューション営業 → 医療機器メーカー営業

AさんはIT企業で法人営業をしていましたが、「もっと社会貢献できる仕事をしたい」と感じて転職を決意。
面接では「提案営業の経験」と「医療への関心」をアピールし、未経験ながら採用されました。

入社後は手術支援ロボットを担当。医師への提案や導入支援を行っています。
最初は専門用語に苦戦しましたが、IT業界で培ったプレゼン力や課題解決力を活かし、今ではチームの中心に。

ポイント:異業種でも“提案力+学習意欲”で成功できる


4. 事例②:MRから医療機器営業へ転身したBさん

Bさん(40歳・女性)/前職:製薬会社MR → 医療機器ディーラー

Bさんは10年以上MRとして勤務していましたが、「もっと直接患者さんに貢献できる仕事をしたい」と感じ、医療機器業界へ。
整形外科向けのインプラント製品を担当し、手術現場で医師をサポートする営業に転身しました。

MR時代に築いた医師との信頼関係が功を奏し、早期に成果を上げています。
「自分の提案した製品で患者さんの回復が早まる」と感じた瞬間が、一番のやりがいだそうです。

ポイント:医療業界経験者は“信頼関係の構築力”が強み


5. 医療機器営業に求められるスキル

医療知識と技術理解

扱う製品の構造や仕組みを理解し、正しく説明できる力が必要です。
理系出身でなくても、入社後の学習で十分キャッチアップ可能です。

論理的な提案力

忙しい医師に短時間で納得してもらうには、論理的で明確な提案が欠かせません。
「この機器が患者さんにどう役立つのか」を根拠をもって説明する力が大切です。

誠実さと信頼

誠実な対応を続けることが、医療機関との長期的な関係構築につながります。
一度信頼を失うと取り戻すのは難しいため、慎重で誠実な姿勢が何より重要です。

柔軟性とストレス耐性

医療現場では予期せぬ変更がつきものです。
冷静に対応できる柔軟さと精神的な強さが求められます。


6. あると有利な資格・スキル

医療機器営業には特別な資格は必要ありませんが、以下のスキルがあると評価されやすいです。

  • 医療機器修理業責任技術者:製品構造理解の証明に
  • 英語力(TOEIC600点以上):外資系メーカーでは必須に近い
  • 理系・医療系学部出身:専門知識の吸収が早い
  • 臨床現場との関わり経験:医療現場理解の深さを示せる

ただし、資格よりも「医療への関心」と「学ぶ姿勢」を重視する企業が多いのが実情です。


7. 転職を成功させるポイント

専門エージェントの利用

医療機器業界は商流や規制が独特です。
医療機器専門の転職エージェントを活用すると、業界特有の非公開求人や面接アドバイスが得られます。

面接で伝えるべきこと

企業が重視するのは、医療への誠実な姿勢と成長意欲です。
「医療に貢献したい」「現場の課題を解決したい」など、具体的な志望理由を伝えましょう。

学ぶ姿勢をアピール

「医療知識は未経験でも積極的に勉強します」という前向きな姿勢が評価されます。
実際、勉強熱心な未経験者が短期間で活躍している例も多くあります。


8. 今後のキャリア展望

AI・ロボティクス・遠隔診療など、医療機器業界は今まさに変革期にあります。
営業職も「製品を売る人」から「医療現場の課題を解決するパートナー」へと役割が進化しています。

今後は「営業力+医療知識+テクノロジー理解」を兼ね備えた人材が求められます。
外資系企業では、英語力を活かして海外展開に携わるチャンスもあります。


まとめ:信頼と知識がキャリアをつくる

医療機器営業は、知識・誠実さ・信頼関係の3つで成り立つ仕事です。
スピードや売り込みよりも、「正確さ」と「誠実さ」が評価されます。

異業種からの挑戦でも、営業経験や学ぶ意欲があれば十分に通用します。
あなたの提案が、誰かの命を救うきっかけになる。
——それが医療機器営業の大きな魅力です。


信頼を積み重ね、医療を支える。
医療機器営業は、知識と誠意で挑む“プロフェッショナル営業職”です。


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