
インサイドセールスからフィールドセールスへ転職|内勤営業から外勤営業へ、キャリアを広げる一歩

はじめに
最近、SaaS企業やスタートアップを中心に、**インサイドセールス(Inside Sales)**職が増えています。
オンライン商談や電話・メールを通じてリード(見込み客)を育てるこの仕事は、営業の効率化を支える重要な役割です。
一方で、経験を積むほどにこんな思いを抱く人も少なくありません。
「自分の力で契約を取りたい」
「顧客と直接会って提案したい」
「数字を動かす手応えを感じたい」
そんな方が次に目指すのが、**フィールドセールス(Field Sales)**です。
この記事では、実際の転職事例を交えながら、
インサイドセールスとフィールドセールスの違い、求められるスキル、転職成功のコツをわかりやすく解説します。
1. インサイドセールスとフィールドセールスの違い
1-1. 役割の違い
インサイドセールスは、主に電話やオンラインを使って見込み客を開拓・育成し、商談のきっかけを作る仕事です。
いわば「営業の前線を支える内勤型営業」です。
一方、フィールドセールスは実際に商談を担当し、契約締結まで導く「外勤営業」です。
顧客の課題を聞き、提案し、最終的に受注を決める“営業の要”といえます。
1-2. 求められるスキルの違い
インサイドセールス | フィールドセールス |
論理的な説明力 | 提案力 |
情報整理・分析力 | 交渉力 |
CRM操作スキル | 信頼関係構築力 |
定量管理力 | プレゼンテーション力 |
インサイドセールスが「リードを渡す」役割なのに対し、
フィールドセールスは「契約をまとめる」役割。
つまり、“支える側”から“決める側”へとポジションが変わります。
2. なぜフィールドセールスを目指すのか
インサイドセールスで経験を積むと、多くの人が次のような壁に直面します。
- 商談の結果や受注状況が見えない
- 架電件数やアポイント数など“量”で評価されがち
- 顧客の課題や背景を深く理解する機会が少ない
分業化が進む中で、「自分の仕事が歯車の一部に感じる」という声もあります。
「顧客の課題を、自分の提案で解決したい」
「営業を最初から最後まで担当したい」
こうした想いが、フィールドセールス転職の原動力になるのです。
3. 事例①|SaaS業界・28歳Aさんの場合
AさんはSaaSベンチャーでインサイドセールスを2年間担当。
月50件以上のアポイントを創出していましたが、商談後の成果が見えず、物足りなさを感じていました。
「自分のリードが受注につながったか知りたかった」
「解約理由も把握して、改善提案をしたかった」
そこで、顧客と最後まで関わるためにフィールドセールスへ転職。
面接では次の3点が高く評価されました。
- CRMを使ったリード管理・データ分析の経験
- 顧客心理を意識したトーク設計力
- 商談化率を上げるための改善提案力
現在は、契約まで責任を持つ営業として活躍中。
「自分の提案でお客様が動く瞬間に立ち会えるのが嬉しい」と話しています。
4. 事例②|人材業界・32歳Bさんの場合
Bさんは人材紹介会社でインサイドセールスを担当。
成績は常に上位でしたが、オンライン中心の関係構築に限界を感じていました。
「本音を引き出すには、やっぱり直接会うしかない」
転職活動では、営業手法の設計や改善に関わった経験をアピール。
採用担当からは、
「再現性のある営業設計ができる人」
と評価され、フィールドセールスとして採用されました。
現在は企業訪問を中心に活動し、採用課題のヒアリングから提案までを一貫して担当しています。
「相手の反応を見ながら提案を変えられるのが面白い」と語っています。
5. 採用担当が重視する3つのポイント
① 営業プロセスを理解し、再現できるか
フィールドセールスは感覚ではなく、**「再現性のある営業」**を求められます。
面接では、次のような経験が評価されます。
- 架電スクリプトを改善して成果を上げた
- 商談化率を分析し、アプローチ方法を見直した
- 顧客属性ごとにトーク内容を工夫した
数字を追うだけでなく、「なぜ成果が出たのか」を説明できる人が採用されやすいです。
② 顧客理解力
インサイドセールス出身者は、相手を“データ”で見る傾向があります。
フィールドセールスでは、“人”として理解する姿勢が大切です。
面接では次のようなエピソードを語りましょう。
- 商談前に企業のHPやIR情報を調べた
- 経営者の発信内容から課題を仮説立てした
顧客への理解を深める姿勢が伝われば、信頼を得やすくなります。
③ 主体性・行動力
フィールドセールスは結果責任を持つ立場。
「自分から動き、提案を形にできる人」が評価されます。
6. 転職成功のための3ステップ
ステップ1:現職で“提案経験”を積む
転職前に、社内で提案のチャンスを作りましょう。
- 商談に同席して議事録や提案資料をまとめる
- 成約率を分析して改善案を出す
- リードデータから有望顧客を提案する
これらは面接で「提案型営業の素地があります」と伝える材料になります。
ステップ2:面接では“顧客理解の深さ”を語る
「どんな顧客に、どんな課題を感じ、どんな工夫をしたか」を具体的に話しましょう。
数字よりも、顧客とのストーリーを語れると印象に残ります。
ステップ3:求人選びは“分業度”を確認
SaaS企業などでは営業が細かく分業されています。
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
この3職種が完全に分かれている場合、「一気通貫で営業したい人」には物足りないかもしれません。
中小企業や事業フェーズ初期の会社なら、提案から契約・フォローまで幅広く関われます。
7. 活躍しやすい業界
- SaaS/IT業界:オンライン営業の経験を活かせる
- 人材紹介・派遣業界:課題ヒアリング力が評価されやすい
- 広告・マーケティング業界:提案力を磨きやすい
特にSaaS企業では、インサイドとフィールド両方の経験がある人材は“ハイブリッド営業”として重宝されます。
営業全体を設計できる人材として、キャリアの幅が大きく広がります。
8. まとめ|営業の本当の面白さは「現場」にある
インサイドセールスからフィールドセールスへの転職は、
ただの職種変更ではありません。
「営業の本質」に近づくキャリアアップです。
リード育成で身につけた論理的思考を活かし、現場で提案力や信頼構築力を磨くことで、
「戦略と実行の両方ができる営業」に成長できます。
受注責任を負うのは怖い。
でも、その先にこそ“営業の醍醐味”がある。
現場に出る一歩を踏み出したとき、
あなたの営業キャリアは確実に次のステージへ進むはずです。