
営業から人事へ。異業種転職のリアルと、どう乗り越える?

「このまま営業を続けていていいのかな?」
「もっと人と深く関われる仕事がしたい」
そんな気持ちから、人事職への転職を考え始める営業職の方が増えています。とくに30代前後になると、今後のキャリアや働き方を見直すタイミングも重なり、異業種へのチャレンジを決意する人も。
とはいえ、人事はまったくの未経験。
本当に転職できるの?どんな準備が必要?――そんな不安を持っている方へ、今回は営業から人事へキャリアチェンジを成功させた実例を交えながら、リアルと乗り越え方をわかりやすくお届けします。
なぜ営業から人事を目指す人が多いの?
最近よく聞く「営業→人事」のキャリアチェンジ。そこには、次のような理由があります。
1. 「売る」仕事から「支える」仕事へシフトしたい
営業は、数字を追いかける毎日。やりがいはあるけれど、ノルマやプレッシャーで疲れてしまうことも。
その一方で、人事は社員や組織をサポートする側。人の成長やチームづくりに関わる仕事がしたいと思う人にとって、人事はとても魅力的です。
2. 人との関わり方を変えたい
営業は“お客様”との関係が中心。でも人事は、社員、採用候補者、経営陣など、社内外のいろんな人と関わります。
「もっと身近な人の役に立ちたい」と思ったとき、人事職はその理想に近い仕事なんです。
でも…現実は甘くない。転職の壁とは?
魅力的な人事職。でも、いざ挑戦してみると、次のような「壁」に直面することも。
1. 経験不足がネックになる
中途採用では「即戦力」が求められることが多く、未経験OKの求人はそれほど多くありません。
営業経験しかないと、なかなか書類が通らない…なんてことも。
2. イメージと実務のギャップがある
「人事=人と関わる華やかな仕事」と思いきや、実際は地道な業務もたくさん。
たとえば、労務管理、契約手続き、制度設計、トラブル対応など。想像以上にコツコツ系の仕事も多いんです。
3. 営業スキルがうまく伝わらない
営業で身につけた「提案力」「関係構築力」「交渉力」などは、実は人事でも活かせる力。でも、うまくアピールできないと、「ただの未経験者」と思われてしまうことも。
【実例1】営業→採用担当。カギは「数字で語る力」
事例:30代男性/大手通信会社 → ITベンチャーの採用担当
営業として10年近く働いていたAさん。「若手の成長を支える仕事がしたい」という想いから、IT企業の採用担当に挑戦。
最初の面接では、「なぜ人事?」と疑問を持たれることも多かったそう。
そこでAさんは、営業時代に携わった採用支援の経験を具体的に伝えることに。
「企業の採用戦略を一緒に考えたり、採用広告を提案したりしていたので、人事と同じ目線で仕事をしていました。この経験を活かせると思っています。」
さらに、営業成績も「数字」でしっかり提示。
- 年間契約150件以上(前年比120%)
- 採用コスト30%削減を実現
この“数字で語る”プレゼンが評価され、見事内定。
営業で鍛えた「成果を見える化する力」は、採用の場でもしっかり活きた好例です。
【実例2】転職せず社内異動で人事へ
事例:20代女性/化粧品メーカーの営業 → 同社の人材開発チーム
Bさんは営業職として入社後、新人教育やマニュアル作成を任されたことがきっかけで「育成」に興味を持つように。
すぐに転職するのではなく、まずは社内異動を目指しました。
そのために、教育の場面で積極的に動き、上司との面談でも「人事に興味がある」と素直に伝えることに。
「実際に教育や研修に関わる中で、やっぱり自分に向いていると確信できました。異動後もすんなりスタートを切れたのは、事前に“やってみた”経験があったからだと思います。」
社内異動は、「未経験だけど興味がある人」が人事に関わる最短ルートかもしれません。
営業→人事への転職を成功させる3つのポイント
未経験でも、人事への転職を成功させることは可能。
そのためには、次の3ステップを意識しましょう。
①「なぜ人事か」をとことん言語化する
人事といっても、採用・教育・労務・制度企画など、いろんな分野があります。
その中で自分はどこに関心があるのか?なぜやりたいのか?を、できるだけ具体的に言語化しましょう。
② 営業スキルを“人事視点”で言い換える
営業経験は、そのままでは伝わりにくいこともあります。
でも、少し視点を変えれば、人事で活かせる力がたくさんあります。
たとえば…
営業スキル | 人事に活かせる力 |
提案力 | 候補者への企業魅力の伝え方 |
顧客ヒアリング力 | 社員のニーズ把握・課題抽出 |
数値管理・目標達成力 | 採用KPIや研修効果のモニタリング |
自分の過去を「人事用語」で言い換える工夫がポイントです。
③ 小さくてもいい、“実績”をつくる
いきなり転職する前に、小さな経験を積んでおくのもおすすめ。
- 社内のOJTを担当する
- 副業でリクルーターに挑戦する
- 採用広報としてSNS発信する
「やってみた」経験があるだけで、未経験者から“一歩リード”できます。
まとめ|営業経験は、人事でも活かせる武器になる
営業から人事への転職は、決して楽な道ではありません。
でも、相手のニーズを読み取り、提案し、信頼を築く――そうした営業の本質的な力は、人事の現場でも大いに活きます。
大切なのは、「なぜ人事をやりたいのか?」を明確にし、自分の経験をしっかり“言葉”にして伝えること。そして、少しずつでいいので、実績を積んでおくことです。
異業種転職は、人生をアップデートするチャンス。
あなたの一歩が、新しいキャリアの扉を開くかもしれません。