年功序列なのに昇給しないのはなぜ?形だけの制度が生むモヤモヤの正体

2025.6.30
コラム

「働いてるのに給料が上がらない…」その違和感、放っておかないで

「うちは年功序列なのに、昇給してない…」
「10年働いてるのに、給料が全然増えてない…」

こんな声をよく耳にするようになりました。

昔の日本企業では、「長く働けば給料が上がっていく」のが当たり前でした。いわゆる“年功序列”の仕組みです。でも今は、その制度がうまく機能していない会社も増えています。

がんばって働いているのに昇給がない。そんな状況が続けば、不満もモチベーションも下がってしまいますよね。

今回は、「どうして昇給しないのか?」という疑問に向き合いながら、実際の会社の事例や、私たちができる対策について分かりやすくご紹介します。


1. そもそも「年功序列」ってどんな制度?

年功序列とは、年齢や勤続年数に応じて昇進・昇給していく仕組みのこと。

  • 長く働くほど給料が増える
  • 経験が重視される
  • 安定した雇用を前提としている

という特徴があります。

この制度は、企業がぐんぐん成長していた高度経済成長期には、とてもよく機能していました。会社が大きくなるにつれて人件費の予算も増え、年齢とともに給料も上がっていったんですね。

でも今は時代が変わりました。景気が不安定な中で、同じ仕組みをそのまま続けるのは、なかなか難しくなっています。


2. 【事例①】昇給が止まった中堅製造業の社員の声

地方のとある製造業では、今も表向きは年功序列の制度を使っています。ですが実際には、若手社員までは昇給があっても、30代以降は昇給がほとんどないのが現状です。

たとえば30代半ばで昇給は年に数百円、40代に入ると完全にストップ。会社としては「業績が厳しいから」と説明していますが、社員からはこんな声が。

「毎年評価面談があるけど、結果に関係なく昇給はゼロ。正直やる意味あるのかな…」
「後輩に仕事を教えても、何も評価されないし、感謝されるだけで終わってしまう」

このように、制度が「あるだけ」で、実際には昇給につながらないことへの不満が高まっているのです。


3. 昇給しない理由とは?よくある3つの原因

会社の業績が悪くて、人件費を増やせない

多くの会社が、コスト削減や人件費の抑制に取り組んでいます。年功序列のままだと、社員が年を重ねるほど人件費がかさむため、**「昇給させたくてもできない」**というのが本音です。

評価制度がうまく機能していない

「評価シートはあるけど、何を見ているのかよくわからない」
「査定の結果が昇給に全く関係ない」

こんな会社も少なくありません。形だけ評価しても、結果に反映されなければ社員は納得できません。

実力主義を取り入れたけど、中途半端

最近は、年功序列に代わって「実力主義」を取り入れる企業も増えています。でも制度の設計があいまいだと、若手だけが評価され、中堅やベテランが報われなくなることも…。


4. 【事例②】IT企業での“昇格できない”問題

ある中堅のIT企業では、スキルや実績に応じた「等級制度」を導入しています。年齢よりも実力重視の仕組みです。

でも、実際にはこんな問題が…。

  • 上の等級に上がるための条件が厳しすぎる
  • 昇給には経営陣の承認が必要で、滅多に通らない
  • 若手ばかり昇格して、中堅はずっと停滞

この結果、10年以上勤めても給料が変わらず、40代社員の退職が相次ぐという事態に。

制度自体は良さそうに見えても、運用がうまくいかないと社員の不満は高まってしまいます。


5. 年功序列が“形だけ”になったときに起こること

制度があっても機能していないと、こんな悪影響が出てきます。

(1)中堅社員のやる気がなくなる

がんばっても給料が変わらない。そんな状態が続けば、誰でも意欲は下がってしまいます。特に、家庭や教育費など出費の多い世代にとっては深刻な問題です。

(2)優秀な人から辞めていく

「このままでは将来が見えない」と感じた人は、もっと評価される環境へと転職していきます。結果的に、会社にとって大切な人材から失うことに。

(3)若手も将来に希望を持てない

中堅社員が不満を抱えて働いている姿を見れば、若手も「自分の未来もこうなるのか…」と不安になります。職場の雰囲気が悪くなり、組織全体が沈んでしまうのです。


6. 昇給がないときに考えたい3つの行動

(1)「年功=昇給」という思い込みを捨てる

まずは考え方の見直しから。今は「長く勤めれば給料が上がる」時代ではありません。期待しすぎない姿勢が、心のゆとりにつながります。

(2)自分のスキルを棚卸ししておく

どんな仕事をしてきたか、何ができるかを整理しておくことは大切です。転職や副業の場面でも、自分の“強み”をしっかり言えるようにしておきましょう。

(3)転職・副業も視野に入れてみる

どうしても会社で報われないと感じるなら、外に目を向けることも選択肢です。今は副業やフリーランスなど、いろんな働き方があります。自分の力で収入を増やす手段を持っておくことが、将来の安心にもつながります。


おわりに:制度に頼らず、自分の未来は自分で切り開こう

年功序列は、もはや「昔の話」になりつつあります。今は、会社や制度に頼るだけでなく、自分自身で価値を高めていく時代です。

制度がうまく機能しない中でも、スキルを磨き、チャンスを探し、自分らしいキャリアを築いていく。その意識があるかどうかで、数年後の未来は大きく変わるはずです。

モヤモヤを感じたら、それは「動き出すタイミング」かもしれません。


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