営業職なのに歩合が安すぎる…

2025.6.25
コラム

インセンティブ制度を見直すポイントとは?

「契約をたくさん取っても、インセンティブがほとんどつかない」
「どれだけ成果を出しても、給料が変わらない」

——そんな声を、営業職の現場からよく耳にします。

本来、営業は「がんばった分だけ報われる」仕事のはず。にもかかわらず、報酬制度がうまく機能していないと、モチベーションは下がり、離職や業績低下を招きかねません。

この記事では、営業のやる気を引き出す“納得感ある制度”にするために、インセンティブ設計をどう見直せばよいのか、実際の事例も交えてわかりやすく解説します。


目次

  1. 営業のやる気が続かない理由
  2. インセンティブ制度が機能しなくなる原因
  3. 【事例①】売上が伸びても給料が変わらない
  4. 【事例②】“罰則型インセンティブ”で人が辞める
  5. 見直しポイント①:評価基準を明確に
  6. 見直しポイント②:利益とのバランスをとる
  7. 見直しポイント③:短期と長期の評価を分ける
  8. “納得できる”制度にするには?
  9. まとめ:報われる仕組みが、会社を強くする

1. 営業のやる気が続かない理由

営業の仕事は、成果が数字で見える分、「報酬で評価されているかどうか」が非常に重要です。

たとえば、月500万円売り上げてもインセンティブが1万円だけだと、「このがんばり、意味あるの?」と感じるのも無理はありません。

しかも、制度の中身がよくわからなかったり、評価基準が曖昧だったりすると、「どう頑張れば報われるのか」が見えず、やる気がどんどん失われていきます。


2. インセンティブ制度が機能しなくなる原因

インセンティブ制度がうまく機能しないのには、いくつかの共通した理由があります。

  • 支払原資が少なく、十分な報酬を出せない
  • 成果を出しても上限額に引っかかってしまう
  • 会社の都合でルールがコロコロ変わる

このような状態では、営業職の信頼もモチベーションも維持できません。特に優秀な営業ほど、他社への転職を真剣に考えるようになります。


3. 【事例①】売上が伸びても給料が変わらない

ある広告代理店では、営業が月に800万円以上の売上を出しても、インセンティブはわずか3万円。

理由は「粗利が少なく、実質的に利益が出ていないから」でした。

確かに利益が出なければ高い報酬は出せません。でも、ならば最初から「売上」ではなく「粗利」を評価基準にすべきだったのでは?という話です。

この制度への不満から、優秀な営業メンバーが次々と離職してしまいました。


4. 【事例②】“罰則型インセンティブ”で人が辞める

別のIT企業では、「売上目標に届かないと基本給が減る」という制度を導入していました。

一見、成果を求める合理的な仕組みに見えますが、現場では真逆の行動が起きました。

営業は「下手に動いて失敗するより、じっとしてた方がマシ」となり、積極的に動かなくなったのです。
当然、成果は下がり、離職者も続出。

“プレッシャー型”のインセンティブは、逆効果になることも多いのです。


5. 見直しポイント①:評価基準を明確に

インセンティブ制度を見直す第一歩は、「何を成果として評価するか」をはっきりさせること。

たとえば目的ごとに評価指標を分けると、制度が機能しやすくなります。

目的評価指標
新規開拓を強化新規契約数、アポ獲得数
利益の最大化粗利額、利益率
顧客満足度の向上継続率、紹介数、満足度アンケートなど
長期的な関係構築契約継続年数、解約率の低さ

「評価基準が何なのか」が明確であれば、営業も安心して成果を目指せるようになります。


6. 見直しポイント②:利益とのバランスをとる

「がんばった分だけ支払いたいけど、利益も守らないといけない」

そんなときは、粗利に応じた段階的な報酬率の設定がおすすめです。

粗利額インセンティブ率(例)
〜30万円3%
30〜50万円5%
50万円以上7〜10%

成果を出せば出すほど報酬が増える仕組みにすることで、営業のやる気もキープできます。


7. 見直しポイント③:短期と長期の評価を分ける

営業には、「今月の数字をつくる仕事」と「将来に向けて仕込む仕事」の両方があります。

短期的な売上だけを評価すると、無理な契約や、後のクレームにつながる営業になりがちです。

だからこそ、評価も次のように分けるのが理想です。

  • 短期評価:売上、契約数、アポイント数など
  • 長期評価:継続率、紹介件数、解約率の低さなど

短期と長期の評価をバランスよく設けることで、営業の質も高まり、顧客との関係も良好に続いていきます。


8. “納得できる”制度にするには?

インセンティブ制度でもっとも大切なのは「納得感」です。

報酬の金額そのものよりも、「ルールが分かりやすく、みんなに公平」であることが重要です。

具体的には以下の3つがポイント。

  • ルールを明文化し、全員に共有する
  • 定期的にフィードバック面談を行う
  • 制度改定時は、現場の声を必ず取り入れる

トップダウンで決めた制度は、現場の不信感を生みがちです。営業と一緒に制度をつくる姿勢が、長く愛される仕組みにつながります。


9. まとめ:報われる仕組みが、会社を強くする

営業職は、会社の売上を担う最前線。
その営業が「報われていない」と感じる制度のままでは、いずれ人も成果も失ってしまいます。

一方で、「成果に応じた正当な報酬がある」と実感できれば、営業のやる気もぐっと高まり、会社全体の業績にも大きく貢献してくれるでしょう。

インセンティブ制度の見直しは、単なる給与制度ではなく、会社の成長戦略そのもの。

「がんばれば、ちゃんと報われる」——そんな仕組みをつくることが、営業組織を強くし、会社を強くします。


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