「採用がうまくいかない」企業が見直すべき3つのポイントとは?

2025.6.08
コラム

採用活動に悩む企業は少なくありません。

「なかなか応募が来ない」「いい人が採用できない」「すぐに辞めてしまう」――。こうした声を、現場や人事部からよく耳にします。ですが、その裏には、企業側の“見落とし”が潜んでいることも多いのです。

この記事では、「採用がうまくいかない」と感じている企業が、すぐに見直すべき3つのポイントをご紹介します。実際の事例も交えて解説していきますので、自社の採用活動を振り返るヒントにしていただければと思います。


1. 「どんな人が欲しいか」がはっきりしていない

最初に見直したいのは、「採用したい人材像」が明確になっているかどうかです。

ターゲットがぼんやりしていると、求人内容から面接の質問、採用基準まで、すべてがズレてしまいます。これでは、せっかく応募してくれた人ともうまくマッチしません。

事例:ITベンチャーA社のケース

都内のITベンチャー企業A社では、営業職を10名採用する目標を掲げていました。ところが、応募は少なく、やっと採用できても早期離職が続く状態。

原因を探ると、社内で「どんな人を採りたいのか」がバラバラだったのです。

  • 経営陣:「スタートアップで活躍できる、地頭のいい人」
  • 人事担当:「未経験でもポテンシャルのある20代」
  • 現場リーダー:「即戦力の営業経験者」

このように認識がズレていると、効果的な採用活動はできません。A社では全メンバーで話し合いを行い、「どんな人がフィットするか」を具体的に定義しました。

たとえば、

  • 「法人営業の経験が3年以上ある」
  • 「SaaSビジネスに興味がある」
  • 「チームワークよりも個人の裁量で動ける人」など

要件を明文化することで、求人内容も面接方針も統一され、3か月で6名の採用に成功。入社後の定着率も上がりました。


2. 求人情報が“応募者の心”に届いていない

どれだけ魅力的な会社でも、その魅力が応募者に伝わらなければ意味がありません。

よくあるのが、求人票や採用ページに「アットホームな職場」「未経験歓迎」など、他社と差別化されていない表現が並んでいるケースです。これでは、求職者の印象には残りません。

事例:地方製造業B社のケース

地方で自動車部品をつくる製造業B社では、若手人材の応募がまったく来ないという課題を抱えていました。

求人票には「アットホームな雰囲気」「チームで助け合う職場」など、どこかで見たような言葉ばかり。採用担当者も「若者は工場で働きたがらない」と諦めかけていました。

しかし、現場の社員にヒアリングをしてみると、思わぬ魅力がたくさん見つかりました。

  • 工場内は冷暖房完備で快適
  • 力仕事が少なく、機械オペレーションが中心
  • 育児中の女性社員も多く、残業が少ない

B社は採用ページを大幅に見直し、「製造業のイメージを変える職場」という切り口で発信を開始。実際に働く社員の声や写真を多く使い、「暮らしと両立できる働き方」を強調しました。

その結果、地元の若者やUターン希望者からの応募が急増。採用にもつながりました。


3. 面接や選考が“企業目線”になっている

面接の場は、応募者にとって「この会社で働きたいか」を判断する大切な時間です。

ところが、企業が一方的に質問を投げかけたり、選考に時間がかかったりすると、応募者の気持ちは冷めてしまいます。選考体験そのものが企業の印象を左右するのです。

事例:大手サービス業C社のケース

C社では、選考を受けた応募者の約半数が一次面接のあと辞退していました。

原因を探るために、辞退者に匿名アンケートを実施したところ、次のような声が寄せられました。

  • 「面接官がずっとパソコンを見ていた」
  • 「こちらの話を聞かず、質問ばかりされた」
  • 「志望動機をしつこく聞かれて、疲れた」

つまり、「歓迎されていない」「聞いてもらえなかった」という印象を持たれていたのです。

そこでC社は、面接官向けの研修を実施。「話をよく聞く」「強みを引き出す」「応募者が質問しやすい雰囲気をつくる」といった基本を見直しました。また、選考スピードも短縮し、フィードバックも丁寧に伝えるようにしました。

その結果、面接辞退率は1割未満にまで改善されました。


採用がうまくいかない原因は、実は社内にある

採用がうまくいかないとき、多くの企業は「人がいない」「市場が悪い」といった外部要因に目を向けがちです。

ですが実際には、「社内での認識のズレ」や「応募者目線の欠如」など、内側にこそ見直すべきポイントがあります。

もう一度、3つのポイントをおさらいしましょう

  1. 採用したい人物像を明確にすること
     誰を採りたいのか、社内で共通のイメージを持つことが第一歩です。
  2. 求人情報や採用ページを見直すこと
     「うちの会社ならではの魅力」が応募者に伝わっているかをチェックしましょう。
  3. 面接や選考フローを応募者視点で整えること
     応募者が「この会社で働きたい」と感じられるような体験設計が大切です。

おわりに

採用は「会社の未来をつくる活動」です。ですが、ちょっとした認識のズレや伝え方のミスが、せっかくの出会いを逃してしまう原因にもなります。

もし、いま採用活動がうまくいっていないと感じているなら、今回の3つのポイントを自社で照らし合わせてみてください。

採用が変われば、組織が変わります。そして、未来も変わっていきます。


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