不動産営業から異業種へ転職する際の書類の工夫
―「売ってきた人」から「活かせる人」へ―
不動産営業として働いてきた方の中には、
「異業種に挑戦したいが、書類選考がなかなか通らない」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、不動産営業経験者が異業種転職で苦戦する理由は、経験そのものではなく、書類での伝え方にあります。
本記事では、不動産営業から異業種へ転職する際に、書類で意識すべき工夫を事例とともに分かりやすく解説します。
なぜ不動産営業経験は評価されにくいのか
不動産営業は、決して簡単な仕事ではありません。
しかし、採用担当者からは次のように見られてしまうことがあります。
- 業界特有の仕事で、他では使えなさそう
- 個人プレーが中心で、協調性が弱そう
- 売上重視で、調整力がなさそう
これらはあくまで「イメージ」です。
ただし、書類で説明しなければ、そのまま判断されてしまうのが現実です。
異業種転職では、
「何を売ってきたか」よりも
「どんな力を身につけたか」
を伝えることが重要になります。
工夫① 業界用語は使わない
不動産営業の職務経歴書で多いのが、業界用語の多用です。
- 重説
- 媒介取得
- レインズ
- 反響対応
不動産業界では当たり前でも、異業種の採用担当者には伝わりません。
言い換え例
× 不動産売買仲介における媒介取得から決済まで担当
○ 数千万円規模の高額商材を扱う提案営業として、初回相談から契約・引き渡しまでを一貫して担当
業界名ではなく、営業の流れで表現することで、経験の汎用性が伝わります。
工夫② 売上数字だけで終わらせない
「年間〇億円を売り上げた」
これは強い実績ですが、それだけでは不十分です。
異業種では、
「どうやって成果を出したのか」
が重視されます。
事例:IT業界へ転職したAさん(30代)
Aさんは高い売上実績を持っていましたが、書類選考が通りませんでした。
改善したのは次の点です。
- 顧客の課題をどう整理したか
- どんな提案を工夫したか
- 関係者とどう調整したか
改善後の記載例
「顧客の要望を丁寧にヒアリングし、条件を整理した上で複数案を提案。検討期間が長い案件でも、段階的な提案により成約につなげた。」
これにより、「提案力」「課題整理力」が評価され、異業種転職に成功しました。
工夫③ 個人営業でも「調整力」を書く
不動産営業は、実は調整業務の連続です。
- 売主と買主の条件調整
- 金融機関や司法書士との連携
- 社内との進捗共有
これを書かないと、「一人で売っていただけ」に見えてしまいます。
記載例
「社内外の関係者と連携し、条件調整やスケジュール管理を行いながら案件を進行」
異業種では、調整力やコミュニケーション力は高く評価されるスキルです。
工夫④ 志望動機で不満を語らない
異業種転職の志望動機で避けたいのが、不動産業界への不満です。
- きつかった
- ノルマが厳しかった
- 働き方を変えたい
これらをそのまま書くと、マイナス評価になりやすくなります。
考え方のポイント
- 不動産営業の経験は肯定する
- 次に挑戦したい方向性を語る
例文
「高額商材の提案営業を通じて、顧客の意思決定を支援する力を身につけました。今後は、より長期的に顧客と関われる〇〇業界で、この経験を活かしたいと考えています。」
工夫⑤ 職務要約は「業界説明」にしない
職務要約は最初に読まれる重要な部分です。
NG例
不動産売買仲介を中心に個人向け営業を担当。
OK例
高額商材の提案営業として、顧客の課題整理から提案、意思決定支援までを担当。
業界名は後半で補足すれば十分です。
まとめ:不動産営業経験は「翻訳」すれば伝わる
不動産営業から異業種へ転職する際に必要なのは、新しい経験ではありません。
これまでの経験を、相手に伝わる言葉に置き換えることです。
- 業界用語を使わない
- 行動や工夫を書く
- 調整力を明示する
- 前向きな志望動機にする
これだけで、書類選考の通過率は大きく変わります。
不動産営業で培った経験は、異業種でも十分に通用します。
伝え方を変えれば、評価も変わります。