旅行業界営業職の転職難易度とは?──コロナ後に広がる新しいチャンス
かつて「華やかな仕事」の代名詞だった旅行業界。
しかしコロナ禍を経て、多くの企業が大きな打撃を受けました。
そこから数年、ようやく観光需要が戻りつつあります。
では今、旅行業界の営業職に転職するのは難しいのか?それともチャンスなのか?
この記事では、業界の現状、転職難易度、求められるスキル、そして実際の転職成功事例を交えて分かりやすく解説します。
■旅行業界営業職の仕事とは?
旅行業界の営業と一口にいっても、仕事内容はさまざまです。
- 法人営業(BtoB):企業の出張・社員旅行・イベントなどを企画・提案
- 個人営業(BtoC):一般のお客様に旅行プランやツアーを販売
- インバウンド営業:海外から日本に来る旅行者への提案
- 自治体・企業連携営業:観光振興や地域プロジェクトを提案・推進
旅行営業は「旅行を売る仕事」というより、人の体験をつくる仕事です。
最近ではオンライン予約やSNS発信も増え、企画力+デジタル力のある営業が求められています。
■旅行業界の転職市場(2025年現在)
◎観光需要は回復基調に
2023年以降、訪日外国人(インバウンド)が急回復。
日本政府観光局のデータによると、2024年の訪日客数はコロナ前(2019年)とほぼ同水準まで戻りました。
国内旅行も堅調で、観光地には再び活気が戻っています。
◎人手不足と業界再構築が進行中
コロナ禍で多くの人材が他業界に流出し、慢性的な人手不足が続いています。
採用は再開しているものの、単なる補充ではなく「収益を生み出せる営業人材」を重視する傾向です。
そのため、実力主義の採用が進んでいます。
■旅行業界営業職の転職難易度
結論から言えば、転職難易度は「中〜やや高め」。
ただし、業界経験の有無や営業スキルの応用力によって大きく変わります。
① 業界経験者:転職しやすいが「提案力」がカギ
旅行・ホテル・航空業界などで営業経験がある人は比較的有利です。
ただし、単なるルート営業ではなく、「企画力・課題解決力」が重視されます。
事例:Aさん(32歳・旅行会社法人営業)
コロナ禍で勤務先がリストラ。法人向け旅行営業の経験を活かし、MICE(企業イベント)特化の旅行企画会社へ転職。
顧客対応力と提案力が評価され、2か月で内定を獲得。
業界経験があっても、「何を企画し、どう利益に繋げたか」を具体的に話せる人が強いです。
② 異業界営業からの転職:やや難易度高
不動産・保険・人材業界など、他分野からの転職も可能ですが、ややハードルがあります。
旅行業界は「リピートと信頼」で成り立つため、短期成果型の営業だけでは評価されにくいからです。
事例:Bさん(38歳・人材営業→旅行業界へ)
10年以上人材紹介営業を経験。旅行が好きで観光業界に挑戦。
面接では「顧客の課題を見つけ、解決策を提案してきた経験」を中心にアピール。
結果、地方観光事業を手掛ける企業に採用され、「観光×地方創生」の分野で活躍中。
旅行への情熱に加え、「課題解決型の営業経験」を伝えられるかがカギです。
③ 未経験者:狭き門だが道はある
営業も旅行業界も未経験という場合、難易度は高めです。
特に大手旅行会社は競争率が高く、即戦力重視の傾向があります。
ただし、中小規模の旅行代理店や地域密着型企業は、意欲と学習姿勢を評価するケースもあります。
事例:Cさん(29歳・事務職→旅行会社営業へ)
旅行が好きで、SNSで旅の情報を発信していた。
その発信内容をポートフォリオとして応募したところ、「企画力と発信力」を評価され採用。
現在はオンライン旅行プランの営業を担当。
未経験でも、自分の強みを「旅行ビジネス」にどう活かせるかを伝えることが大切です。
■旅行業界営業職に求められるスキル
かつては「人当たりの良さ」や「接客力」が重視されていましたが、今はそれだけでは不十分です。
以下のスキルが評価されます。
- 法人・団体への提案力
顧客の目的に合わせ、最適なプランを組み立てる力。 - 収益意識・コスト感覚
単なる値引きではなく、利益を確保する見積・交渉力。 - デジタル理解
オンライン予約、SNS集客、データ活用などの知識。 - 語学力(英語・中国語など)
インバウンド案件では依然として需要大。 - 観光トレンドへの感度
「サステナブルツーリズム」「地域共創」など新しい価値観への理解。
■転職で有利になる資格・経験
資格は必須ではありませんが、持っていると印象が良くなります。
- 総合・国内旅行業務取扱管理者
- TOEIC・英検
- 観光英語検定
- SNSマーケティング実務検定
- サービス接遇検定
また、「自治体や観光協会と連携した経験」「地域イベントの運営」など、観光関連の実績がある人は高評価です。
■転職を成功させる3つのポイント
① 「旅行が好き」で終わらせない
旅行が好きという気持ちは大切ですが、企業が求めているのは「ビジネスとして成果を出せる人」。
旅行を通じてどんな課題を解決できるか、どんな価値を提供できるかを具体的に伝えましょう。
② 自分の経験を“旅行業界の言葉”に置き換える
たとえば人材営業なら「採用支援」→「企業の出張効率化支援」といった具合に、
自分の経験を旅行業界の課題に当てはめて説明すると説得力が増します。
③ コロナ後の業界変化を理解する
オンラインツアー、地方創生、インバウンド再燃など、旅行業界は構造変化の真っ只中。
「新しい観光の形を自分なりにどう提案したいか」を語れると、印象に残ります。
■まとめ:狭き門だが、今がチャンス
旅行業界営業職への転職は、決して簡単ではありません。
特に未経験者にとってはハードルが高く、即戦力が求められます。
しかし今は、業界が再成長フェーズに入り、人材需要が回復しているタイミング。
営業経験があり、提案力や課題解決力を持つ人にはチャンスが広がっています。
転職を考える際は、
- 「自分が提供したい旅行の価値」
- 「営業経験をどう活かすか」
を明確にすることが成功への第一歩です。
✈️一言アドバイス
旅行業界は“憧れ”で飛び込む人が多い分、“現実”を理解して行動できる人は貴重です。
「好き」を「強み」に変え、顧客の価値を生み出せる営業になれれば、必ず活躍の場があります。