テレアポ営業から企画営業へキャリアアップするには
〜「電話をかける営業」から「提案される営業」へ〜
はじめに
営業職の入口として多いのが「テレアポ営業(電話営業)」です。
ひたすら電話をかけ、アポイントを取る──。地味で大変な仕事ですが、その中には営業の基礎がすべて詰まっています。
しかし、経験を積むうちに「もっとお客様の課題に向き合いたい」「自分の考えを提案したい」と感じる人も多いはずです。
そんなときに目指す次のステップが企画営業です。
この記事では、テレアポ営業から企画営業へキャリアアップするための考え方と具体的なステップを、実際の事例を交えて紹介します。
テレアポ営業で身につく3つの力
テレアポ営業は、ただ電話をかけるだけの仕事ではありません。
実はどんな営業にも通じる重要なスキルを磨けます。
- ヒアリング力
短い時間で相手の興味や課題を引き出す力。数多くの通話を重ねることで「相手の反応パターン」が自然と分かるようになります。 - トーク構成力
限られた時間で伝える練習の連続です。要点を整理し、相手が理解しやすい順番で話すスキルが身につきます。 - 数字を追う力と忍耐力
断られるのが当たり前の仕事だからこそ、行動量を管理し、結果に粘り強く向き合う姿勢が育ちます。
この3つは、どんな営業職にとっても欠かせない土台。
企画営業を目指す上でも、必ず活きてきます。
企画営業とは? テレアポとの違い
「企画営業」とは、商品を売るのではなく、お客様の課題を解決するための企画を立て、提案する仕事です。
広告、不動産、IT、人材など、さまざまな業界で必要とされています。
| 比較項目 | テレアポ営業 | 企画営業 |
| 目的 | アポイントを取る | 顧客課題を解決する |
| 主体性 | 指示された商品を売る | 自ら企画を考える |
| 評価 | 架電数・アポ数 | 提案内容・成約率・満足度 |
| 求められる力 | トーク力・行動量 | 企画力・分析力・提案力 |
簡単に言うと、「話す営業」から「考える営業」へ変わるのが企画営業です。
行動力に「戦略」と「提案力」を加えることで、一段上の営業へ成長できます。
事例①:人材派遣会社のAさん
テレアポ経験を企画提案に変えた例
Aさん(29歳)は人材派遣会社でテレアポを担当していました。
毎日200件以上の電話をかけ、最初の1年は断られてばかり。
ですが、話の中で「どんな業種が人材に困っているのか」「いつ採用ニーズが高まるのか」をノートに記録していました。
あるとき、「採用してもすぐ辞めてしまう」という声を聞き、「定着率を上げる採用提案」を上司に提案。
自作の資料を使って商談に同行したところ、初の大型契約を獲得しました。
その成果が評価され、企画営業チームへ正式に異動。
Aさんのポイント
- 顧客の“生の声”を日々メモしていた
- 断られる理由を課題発見に変えた
- 行動と提案で周囲の信頼を得た
事例②:広告代理店のBさん
テレアポを“分析営業”に変えた例
Bさん(32歳)は通販企業向けに電話で販促提案をしていました。
しかし、あるクライアントに「もっと効果的な方法がほしい」と言われたことで、架電結果を自分で分析するようになります。
「どの時間帯に電話がつながりやすいか」「どんなセリフで反応が良いか」をデータにまとめ、提案書を作成。
結果、反応率が2倍に上がり、社内で高く評価されました。
今ではSNS広告の企画を担当し、クライアントの売上戦略を立てる立場に。
Bさんのポイント
- 架電データを“マーケティング情報”として活用
- 数字で提案したことで説得力を高めた
- 行動から企画力へステップアップ
企画営業に必要な5つのスキル
- 課題発見力
「なぜ導入しないのか?」という理由の中にヒントがあります。断られた理由を整理するだけで、企画の方向性が見えてきます。 - 提案力
商品の説明ではなく、「導入したらどう変わるか」を語る力。ストーリー・実例・数字をセットで話せると強いです。 - 資料作成力
PowerPointなどで提案内容を“見える化”できること。最初は社内報告用でも構いません。自分の考えを形にする練習をしましょう。 - 業界理解力
業界ニュースや競合情報を調べ、顧客のビジネスを理解すること。情報量が多いほど提案の質は上がります。 - 信頼構築力
テレアポが短期勝負なのに対し、企画営業は長期戦。定期連絡や改善提案など、関係を積み重ねることが成果につながります。
キャリアアップのための5ステップ
ステップ1:まずは「提案の現場」に触れる
- 商談に同行させてもらう
- アポ後の提案内容を共有してもらう
- 小さな提案でもいいので、社内で発表してみる
ステップ2:業界知識を増やす
- 日経新聞や業界誌を読む
- 同業他社の提案事例を調べる
- 顧客の会社サイトや決算情報をチェックする
ステップ3:自分なりの提案書を作ってみる
「このお客様にはこう提案できるかも」と思った内容を資料化してみましょう。
見やすさ・根拠・ストーリーを意識するだけで、説得力が上がります。
ステップ4:社内でプレゼンしてみる
上司や同僚に意見をもらうことで、企画の質が磨かれます。
小さな社内提案でも、立派な実績になります。
ステップ5:企画営業職にチャレンジする
経験とスキルが整ったら、社内異動や転職で企画営業職へ。
特に人材・広告・IT・不動産業界は、テレアポ出身者の活躍が目立ちます。
転職市場で評価される経験とは?
近年、テレアポ経験者は「顧客理解力のある営業」として評価が高まっています。
特に次のような実績があると有利です。
- 断られた理由を分析し、トークを改善した
- 顧客課題をもとに自分なりの提案をした
- データを活用して成果を上げた
つまり、「言われた通りに動いた」ではなく、自分で考え、工夫した経験が評価されます。
まとめ:テレアポ経験は、キャリアの武器になる
テレアポ営業は、決して下積みではありません。
顧客の心理を読み、行動量を積み上げ、結果を出す──そのすべてが営業の基礎力です。
企画営業に必要なのは、その経験を「考える力」「提案する力」に変えること。
電話の先にある“お客様の本当の課題”を見つけられる人こそ、真の営業です。
断られた数だけ、あなたは成長しています。
その経験を武器に、「電話をかける営業」から「求められる営業」へ。
次のステージに、今こそ踏み出してみましょう。