
アルバイトとして働き続けるという選択

〜「非正規」でも、自分らしく生きる人たちのリアル〜
「アルバイトって、いつまで続けるの?」
「正社員にならなくて大丈夫なの?」
そんなふうに言われて、答えに困ったことはありませんか?
日本ではいまだに「正社員こそ安定」「非正規は一時的な働き方」という価値観が根強く残っています。ですが、実際にはあえてアルバイトを選び、自分らしく働き続ける人たちもたくさんいます。
彼らが大事にしているのは、“肩書き”ではなく自分にとっての納得感や自由さ。この記事では、そんな生き方を選んだ人たちのリアルな姿と、アルバイトとして働き続けることの意味を紹介します。
「仕方なく」じゃなくて「自分で選んでいる」人たち
「アルバイトで働き続けるのは、正社員になれなかったから」と思われがちですが、実際はそうとも限りません。
時間に縛られず、やりたいことを優先したい。
人間関係に悩まず、ストレスなく働きたい。
そんな理由から、自分の意思でアルバイトという働き方を選ぶ人も増えています。
事例①:趣味を優先する34歳男性(イベントスタッフ)
加藤さん(仮名・34歳)は、音楽イベントの現場スタッフとして週4日勤務。会社から正社員の話もあったそうですが、あえて断ってきました。
「毎年、夏には海外のフェスに行くのが楽しみなんです。正社員になったら休みが取れないし、自由がなくなる。それならアルバイトのままでいいって思いました。」
収入は月15万円ほどですが、実家暮らしで生活には困っていません。彼にとっては、「好きなことを優先できる働き方」こそが理想なのです。
正社員という働き方が、すべての人に合うわけじゃない
働き方改革や副業の広がりで、働き方は多様になりつつあります。でも、正社員にはまだまだ「残業」「転勤」「異動」など、会社のルールに縛られる部分が多くあります。
その点、アルバイトは働く時間や仕事内容をある程度、自分で選べるのが魅力です。
事例②:子育てと両立するために、あえてパートを選んだ女性
佐藤さん(仮名・42歳)は、小学生の子どもを育てるシングルマザー。以前は出版社で働いていましたが、夜遅くまでの残業が続き、家庭との両立が難しくなりました。
今は、地元の学習塾で事務のパートとして週3日働いています。月収は8万円ほどですが、母子家庭手当などもあり、暮らしは安定しています。
「お金よりも、子どもとの時間を優先したいと思いました。今は一緒に夕ご飯が食べられる毎日が、本当にうれしいです。」
「責任の重さ」よりも「人間関係の軽さ」が心地いい
正社員になると、責任やプレッシャーも増えていきます。やりがいを感じる反面、それがストレスになってしまうこともあります。
そんな中で、精神的な余裕を求めてアルバイトを選ぶ人も少なくありません。
事例③:うつ病から回復した元管理職の男性(清掃スタッフ)
伊藤さん(仮名・51歳)は、以前は大手企業の管理職でしたが、長時間労働とプレッシャーからうつ病を発症。休職後、復職も考えましたが、再び倒れてしまうのが怖くて、今は清掃のアルバイトをしています。
「朝5時から3時間だけ働いて、あとは自分の時間。誰にも干渉されず、気楽に働ける今が、すごく合っていると感じています。」
人との関わりが少ない職場環境も、今の自分にはちょうどいいと言います。
アルバイトでもキャリアは築ける
「アルバイトを続けても成長できない」と思っていませんか?
でも実際は、経験を重ねることでスキルが身につき、次のステップにつながるケースもあります。
事例④:10年のアルバイト経験からカフェを開業した女性
高橋さん(仮名・39歳)は、カフェチェーンで10年以上アルバイトをしてきました。接客やコーヒーの技術、スタッフの教育まで幅広く経験を積み、ついにクラウドファンディングで資金を集め、自分のカフェをオープンさせました。
「“バイト上がり”って言われたこともあったけど、現場で学んできたことがすべて今に活きている。回り道だったかもしれないけど、これが私のやり方です。」
アルバイトにも注意すべきポイントがある
もちろん、アルバイトには注意点もあります。
- 社会保険に入れないことがある(※勤務時間による)
- 賞与や昇給がない
- 雇用が不安定(急に契約終了することも)
- 年齢とともに仕事の選択肢が減る可能性も
こうしたリスクを理解せず、なんとなく働き続けていると、将来困ることになるかもしれません。
対処法
- 社会保険に入れるよう、週20時間以上働く
- 資格取得や副業でスキルアップを目指す
- 収入を一つに頼らず、複数の仕事を組み合わせる(例:配達+バイト)
アルバイトでも「選び方」「働き方」で将来が変わってきます。
「正社員じゃないとダメ」はもう古い考え方
正社員じゃないと不安、評価されない。
そんなふうに思っていた時代は、もう終わりに近づいています。
人生100年時代。働き方も、生き方も、一つじゃなくていいはずです。
「正社員だから安心」「アルバイトだから不安」ではなく、自分にとって無理なく働ける形を選ぶことが、何より大切ではないでしょうか。
まとめ:アルバイトという選択を、自分らしく肯定しよう
「アルバイトを続けるなんて…」と言われることがあるかもしれません。
でも、自分に合った働き方で、納得して生きているなら、それは立派な選択です。
- 自分のペースで働きたい
- やりたいことを優先したい
- 心身を大切にしたい
そんな思いを持つ人にとって、アルバイトは「消極的な選択」ではなく、前向きで賢い選択肢です。
他人の価値観に振り回されず、自分の幸せに正直に働く――。
そんな生き方が、これからの時代の「当たり前」になっていくのかもしれません。