営業職からコンサルタントへ転職するためのステップ｜現場経験を活かしてキャリアを広げる方法
はじめに：営業出身者がコンサルで求められる理由
「営業からコンサルに転職なんてできるの？」
そう感じる人は多いかもしれません。
けれど実際は、営業出身のコンサルタントはとても多いのです。
なぜなら、営業で身につけたスキル――「顧客理解」「課題発見」「提案力」「結果への責任感」――は、すべてコンサルの仕事に通じているからです。
法人営業でお客様の課題を聞き出し、最適な解決策を提案してきた経験がある人なら、それはすでに“コンサル的な営業”をしていたとも言えます。
この記事では、営業経験を活かしてコンサルタントに転職するための具体的なステップを、実際の成功事例とともに紹介します。
第1章：営業の経験はコンサルにどう活かせる？
営業経験がそのままコンサルタントの武器になる理由は、大きく4つあります。
1. 課題を見抜くヒアリング力
営業では、お客様の要望を丁寧に聞き出す力が求められます。
コンサルタントも同じで、クライアントの現状を正確に理解し、真の課題を見つけることが仕事の第一歩です。
相手の話を深く聞ける営業スタイルの人は、すでにコンサル適性があります。
2. 解決策を考える提案力
商品を売るのではなく、「お客様の課題をどう解決するか」を考える営業経験は、まさにコンサルの仕事と重なります。
業績アップやコスト削減などを目的にした提案をしてきた人は、その経験をそのまま活かせます。
3. 結果を出す責任感
営業職は成果で評価される仕事。
「数字を追う責任感」や「最後までやりきる姿勢」は、クライアントの成果を共に追うコンサルタントにとっても欠かせない力です。
4. 信頼関係を築くコミュニケーション力
営業で培った「人間関係構築力」も大きな武器です。
コンサルタントも、クライアントと信頼を築き、伴走しながら成果を出す立場にあります。
第2章：コンサル転職に必要なスキルと知識
営業経験だけでも転職は可能ですが、次のスキルを身につけておくと、採用されやすくなります。
1. 論理的思考（ロジカルシンキング）
コンサルタントは「なぜそう言えるのか」を数字やデータで説明します。
営業時代の提案も、根拠を整理して話せるようにすると評価が高まります。
2. データ分析力・課題設定力
「どこに課題があるのか」を見つける力が重要です。
営業の中でも、売上データや顧客データを使って改善策を考える習慣をつけておくと強みになります。
3. 業界知識・経営知識
コンサルタントは幅広い業界を相手にします。
これまで担当してきた業界の構造を理解し、経営・財務・マーケティングの基礎知識を少しずつ学んでおくと安心です。
4. 資料作成・プレゼン力
提案内容をわかりやすく整理し、伝える力も必要です。
PowerPointで論理的な資料を作る練習をしておくと、面接でも役立ちます。
第3章：営業職からコンサルへ転職する5つのステップ
STEP1：自分の営業経験を整理する
まず、自分がどんな課題を解決してきたかを棚卸しします。
「売上を伸ばした」だけでなく、「業務効率を上げた」「顧客の利益を増やした」など、課題解決の視点でまとめましょう。
STEP2：志望するコンサル分野を決める
コンサル業界にはいくつかの分野があります。
自分の経験に合う分野を選ぶことで、転職成功の確率が上がります。
- 戦略コンサル（経営戦略、M&Aなど）
- ITコンサル（DX、システム導入）
- 人事・組織コンサル（採用・人事制度）
- 中小企業コンサル（業績改善・補助金活用）
STEP3：スキル・資格を補強する
資格が必須ではありませんが、次のような学びを取り入れると信頼度が上がります。
- 中小企業診断士
- MBAやビジネススクール講座
- Excelやデータ分析の実践スキル
- DX関連資格（ITパスポートなど）
STEP4：職務経歴書で「課題解決」をアピールする
数字だけでなく、「どう考え、どう提案したか」を明確に書くのがポイントです。
【例】
クライアント企業の営業効率化を目的にCRMツール導入を提案。
導入後、商談管理の精度が上がり、受注率が20％改善。
このように、課題 → 施策 → 成果を一貫して示すと説得力が増します。
STEP5：コンサル転職に強いエージェントを活用する
コンサル転職は選考が特殊なので、専門の転職エージェントを利用するのが得策です。
アクシスコンサルティングやムービン、リクルートのハイキャリア部門など、コンサル特化型のサポートを受けましょう。
第4章：営業出身者の転職成功事例
事例①：IT営業 → DXコンサルタント
30代前半・男性。大手SIerで法人営業を5年経験。
業務改善提案を通じて「もっと根本的な課題を解決したい」と感じ、ITコンサルに転職。
面接では「システムを売る営業ではなく、業務改革を支援していた経験」を強調し、入社後はDX推進プロジェクトの中心として活躍中。
事例②：メーカー営業 → 中小企業向け経営コンサル
40代・女性。食品メーカーで15年営業を経験。
取引先の売上低迷に対し、販促策を自ら提案・実行したことをきっかけに、中小企業診断士を取得。
地域のコンサル会社に転職し、小売・飲食業の経営改善を支援している。
事例③：不動産営業 → 経営コンサル会社
20代後半・男性。トップセールスとして活躍後、「売る側から仕組みをつくる側に回りたい」と転職。
面接では「顧客の成長を支える営業だった」という姿勢をアピール。
入社後は営業組織の立ち上げ支援など、現場経験を活かして成果を上げている。
第5章：営業出身者が注意すべきポイント
- 「営業＝売り込み」と思われないようにする
コンサルでは、論理性や分析力が重視されます。感覚ではなく、根拠を持って話しましょう。 - 「結果」より「プロセス」を語る
「どんな課題をどう考え、どう提案したか」を具体的に話せるようにしておくことが大切です。 - 年齢に合った戦略を立てる
20〜30代前半はポテンシャル採用が中心。40代以降は「専門分野の知見」や「再現性のある成果」が鍵になります。
まとめ：営業経験は“最強のコンサル基礎力”
営業職からコンサルタントへの転職は、特別な道ではありません。
むしろ今は、「現場を知る人材」こそが求められる時代です。
成功のための3つのポイントは次の通りです。
- 営業経験を「課題解決ストーリー」として整理する
- コンサル的思考を学び、再現性のある実績を語る
- 専門家のサポートを活用する
営業経験は、コンサルタントとしての強力な武器になります。
あなたが現場で積み重ねてきた経験が、次のキャリアで必ず輝くはずです。